研究課題/領域番号 |
13470268
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 文雄 秋田大学, 医学部, 教授 (00127474)
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研究分担者 |
山本 浩史 秋田大学, 医学部, 助教授 (10270795)
柳 克祥 秋田大学, 医学部, 助手 (50323142)
石橋 和幸 秋田大学, 医学部, 講師 (00291617)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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キーワード | ティシュエンジニアリング / 生体吸収性人工血管 / 細胞移植 |
研究概要 |
自己の血管壁細胞を、生体吸収性ポリマーで作成された人工血管上に移植し、生体内における血管壁再構築過程を検討した。 人工細胞外マトリックスにFibrin Glue(F群)およびType Iコラーゲン(C群)を用い、線維芽細胞層/平滑筋細胞層/内皮細胞層を、生体吸収性ポリマー(内径5mm、長さ5cm、poly-L-lactideとpoly-caprolactoneの共重合体を基質としたpoly-glycolic acid)上に階層構築した2種類の人工血管を作成し、細胞を採取した同一犬の総頚動脈(n=16)に移植した(2〜8週間)。また、F群と同じ作成方法で内径10mmのグラフトを下大静脈に移植した。(n=8) 移植後2週間で、両群ともに中膜に多数の細胞浸潤を認め、人工血管の基質部分はほぼ吸収されていた。C群の移植後8週間では、層状のエラスチンの構築を認めた。中膜の壁圧は、F群、C群それぞれ2週間で719±65μm、329±100μm、8週間で109±39μm、100±28μmであった。走査電顕所見では、移植後2週間で両群ともに内腔面は内皮細胞で完全に被覆されていた。グラフト内径はF群、C群それぞれ2週間で6.4±25cm、6.0±0.6cm、8週間で6.7±0.3cm、6.5±0.8cmへと若干の拡大傾向を認めた。下大静脈に移植した群は、全例2週間で血栓による不完全閉塞を認め、8週間では完全に閉塞していた。 自己血管壁細胞を用いた生体吸収性ハイブリッド型人工血管は、移植後早期に生体血管と同様の構築および制御過程を辿り、遠隔中期においても過度の拡張を防ぐことができる可能性があることが示唆された。細胞外マトリックスにはFibrin Glueよりコラーゲンを用いた方が、血管壁の再構築がより促進されると考えられた。静脈に応用するには、作成方法にさらに検討が必要と考えられた。
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