研究概要 |
心房細動を有する心疾患患者の開心術において,簡易型心表面マット電極(24点双極電極を2シート)を用いて左右心房筋の電位マッピングを行い,心房細動を起こしている早期心房興奮部位や心房興奮の規則性などについての検索を詳細に行い,心房細動の原因や維持を司る心房筋の部位を探った.そして,基礎疾患,病悩期間,左房径などの違いにより心房筋の電気生理学的特徴に差異があるかどうかを調べた. 具体的には,多点心表面マッピング電極(旧来のものおよび新規に改良を施したもの)を新規に導入したマッピングシステム(NEC多点マッピング装置,生体アンプと高速AD変換システムからなる)およびフクダ電子社製マッピング解析システム(HPM7100)に接続し,左右心房自由壁から記録された永続的心房細動中の心房興奮波をデジタルデータとして記憶媒体に記録すると同時に,解析ソフトウエアとデータ表示用コンピュータおよびソフトウエアを用いて術中にリアルタイム表示を可能とし,心房興奮のパターン解析を行った.また,新規に考案した局所電位測定用カテーテル電極を併用して肺静脈入口部近位部付近を中心としたマッピングも同時に行い,これまでのデータと併せて追加検討を行った.また,電位の解析に際しては,新規に開発導入したスペクトル解析(FFT)による波形規則性の定量化法を応用し,規則性の可視化を行って検討した.あわせて,経食道心エコー検査により左房径や肺静脈口入口部間の距離を測定し,電気生理学的所見との関連を検討した.これらの検討の結果から,より低侵襲な術式として興奮様式別の標的心房部位の特定を行った上での標的心房筋に対する高周波洗浄焼却を行うべく現在その適応を検討している.高周波洗浄焼却装置の効果を十分に検討するために,動物による焼却実験を検討している.
|