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2002 年度 実績報告書

乏突起神経膠腫における化学療法感受性の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 13470284
研究機関東京大学

研究代表者

田中 実  東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50332581)

研究分担者 淺井 昭雄  埼玉医科大学, 総合医療センター, 講師 (50231858)
油谷 浩幸  東京大学, 先端科学技術研究センター・ゲノムサイエンス部門, 教授 (10202657)
キーワード乏突起神経膠腫 / 遺伝子診断 / 化学療法 / 遺伝子発現解析
研究概要

突起神経膠腫の一部は化学療法感受性が高く、これが染色体1pの欠損(多くの場合、片側アレルの欠損のみ)と強く相関している。我々はまず、多数の臨床検体を収集し腫瘍バンクを作成し、それらに対して染色体の欠損(1p,19q,10q,CDKN2N)や遺伝子の変異(TP53)、増幅(EGFR,CDK4)などを調べた。その結果、1p欠損を伴う腫瘍の多くは突起神経膠腫であり、突起神経膠腫の約60%に1pの欠損が認められた。また、1pの欠損は多くの場合19qの欠損を同時に伴っていた。一方、染色体1pの欠損のない突起神経膠腫にはp53の遺伝子変異が多く認められた。次に、突起神経膠腫の化学療法感受性関連遺伝子および染色体1p上にあると想定される癌抑制遺伝子の同定を目的とし、マイクロアレイ(DNA chip)による遺伝子発現プロファイル解析を施行した。Affymetrix社が開発したオリゴヌクレオチドアレイであるGeneChipシステムを用い、突起神経膠腫のうち、1pの欠損を認める6例と認めない5例、および正常脳組織の遺伝子発現を比較解析した。その結果、発現が変化している209遺伝子を同定した。染色体1pの欠損がある群で上昇を認めた86遺伝子には、正常脳組織で発現している遺伝子が多数含まれていた。また、染色体1pの欠損がある群で発現の低下している123遺伝子のうち50%は1p上の遺伝子、10%は19q上の遺伝子で、その発現量の低下の平均は片側アレルの欠損を反映して約50%であった。これは、当システムによる遺伝子同定の信頼性の高さを示している。これらの遺伝子については、さらに多数の突起神経膠腫検体に対し、定量的PCRにて発現の変化を確認した。今回抽出した遺伝子が、協調しつつ腫瘍の化学療法感受性に影響を与えていると予想して現在検討を続けている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Ueki K, Nishikawa R, Nakazato Y, Hirose T, Hirato J, Funada N, Fujimaki T, Hojo S, Kubo O, Ide T, Usui M, Ochiai C, Ito S, Takahashi H, Mukasa A, Asai A, Kirino T: "Correlation of histology and molecular genetic analysis of 1p, 19q, 10q, TP53, EGFR, CDK4, and CDKN2A in 91 astrocytic and oligodendroglial tumors"Clin Cancer Res. 8(1). 196-201 (2002)

  • [文献書誌] Mukasa A, Ueki K, Matsumoto S, Tsutsumi S, Nishikawa R, Fujimaki T, Asai A, Kirino T, Aburatani H: "Distinction in gene expression profiles of oligodendrogliomas with and without allelic loss of 1p"Oncogene. Jun 6;21(25). 3961-3968 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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