研究概要 |
comparative genomic hybridization(CGH)法を用いて,分化型神経膠腫初発例の染色体,遺伝子異常の解析を開始した。分化型神経膠腫再発例についても解析を開始し、いくつかの染色体異常の獲得が認められ、さらに症例を重ね検討中である。同時にMIB-1標識率,Laser Scanning Cytometer(LSC)による増殖能の評価を行なった。増殖能の評価については臨床的にSingle Photon Emission CTとの関連性を検討し報告した(Eur J Nucl Med,2001)。また神経膠腫のLSC解析の中で染色体不安定性が高まるにつれDNA aneuploidyが出現し、予後不良症例が多いという結果を得たので報告した(J Neuro-oncol, in press)。その後、良性神経膠腫であるpilocytic astrocytoma, gemistocytic astrocytomaのCGH解析,LSC解析に着手した。pilocytic astrocytomaについては、良性経過をたどる症例に染色体異常の多い症例が認められた。これまでの神経膠腫の結果と異なる傾向であり、さらに症例を重ね検討中である。神経膠腫におけるCGH解析結果から10番染色体の欠失が極めて多い領域について、microsatellite analysisを行なった。BAC contigプローブを用いて10p15領域の共通欠失領域のphysical mappingにより、この領域上のtumor suppressor geneの存在を示唆する所見が得られた。
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