今年度、交感神経節移植に関する基礎的/臨床的研究を行った.基礎的研究としてはnestinとFGP(fluorescence green protein)transgenic mouseを作成し、胎児脳および交感神経節からFACSにより幹細胞を効率的に採取した.この細胞をラット6-OHDAモデル線条体に移植し形態学的、行動的に観察した.移植された幹細胞は宿主脳内で分裂し、tyrosine hydroxylase(TH)陽性細胞に分化した.しかもこれらの細胞は神経細胞の特徴を有して突起を宿主脳内に伸長していた.Amphetamine投与後の回転行動は移植群は対照群に比し優位に減少した. 臨床的には胸部交感神経節の脳内移植をパーキンソン病患者に施行した.移植を受けた4名の患者は術後、offで過ごす時間が減少しoff時の症状も改善した.移植交感神経節は免疫組織化学的にVMAT(dopamine transporter)およびAADC(aromatic amino acid decarboxylase)陽性を示した.また、交感神経節移植片を培養後、L-dopaを滴与すると移植片にL-dopaはuptakeされ、high potassiumの滴与でdoopamineが放出された.このことは移植された交感神経節がL-dopaをuptakeしsynaptic vesicle内にdopamineを貯蔵し、適宜、放出してoff時間の減少を来たしたものと考えられた.
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