研究課題
基盤研究(B)
本研究ではまず軟骨組織で特異的に発現している遺伝子を網羅的に同定するために、遺伝子トラップ法とcDNAサブトラクション法を駆使し、更に市販のDNAチップを用いて解析を行った。本研究の為に独自に開発を進めてきた粗織特異的遺伝子トラップベクターについては、最終的な完成には至っていないが、開発の過程で得られたシグナル配列特異的遺伝子トラップベクターについては、満足のいく結果が得られている。また、サブトラクション法を用いた解析についても、比較する粗織あるいは細胞を上手く選ぶことにより、満足のいく結果が得られている。具体的には関節軟骨と成長軟骨を比較することにより、それぞれの組織に特有の遺伝子が効率よく単離できることが明らかになった。その結果、例えば本研究を通して関節軟骨組織で特異的に発現している遺伝子として、Lubricinなど幾つかが同定された。Lubricinは関節表層に限局して存在し、関節に潤滑性を付与する重要な分子である。Lubricin以外についても同様に、同定されたそれぞれの遺伝子は各軟骨組織に特有なものであることがノーザン解析の結果から確認できている。一方、市販のcDNAマイクロアレイを用いた解析については、当初の期待に反して得られた情報は極めて少なかった。これは、既存のcDNAマイクロアレイに搭載されている遺伝子の多くが、軟骨以外の粗織や細胞に由来子、その結果、必ずしも軟骨組織で発現している遺伝子をカバー仕切れていないことが主な原因である。従って、軟骨特有の遺伝子の収集は依然として重要な課題であり、その上で軟骨組織特異的なcDNAマイクロを作成していくことが急務である。尚、本研究を通して明らかにしてきた新規遺伝子、あるいはこれまで軟骨組織との関連が一切報告されていなかった遺伝子については個別に解析を進め、軟骨組織におけるそれぞれの働きを明らかにする努力を続けている。
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