研究課題/領域番号 |
13470315
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 秀男 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50138038)
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研究分担者 |
豊田 敬 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80227660)
須田 康文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20196900)
大谷 俊郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00160531)
田中 順三 独立行政法人, 物資・材料研究機構 物資研究所・生体材料グループ, 主幹研究員
谷田部 拓 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70306752)
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キーワード | 傾斜型複合マトリックス / 人工骨軟骨複合体 / II型コラーゲン |
研究概要 |
1.骨髄未分化間葉系細胞の分化 【軟骨細胞への分化】 ヒト骨髄血清から単離した骨髄未分化間葉系細胞はin vitroにTGF-β3とデキサメサゾンを添加することにより、軟骨細胞へ分化させることが可能であった。さらにヒアルロン酸の添加で軟骨マトリックスの合成が促進された。しかし、骨髄未分化間葉系細胞は、heterogenousな細胞群であるため、今後さらに純化した軟骨細胞を得るには、CD166+またはCD160+、CD34-、CD44intの細胞を選択的に単離することが必要であると考えられた。 【骨芽細胞への分化】 β-glycerolとデキサメサゾンを添加することで骨芽細胞のマーカーの一つであるType I collagenの発現を確認することができた。しかしもう一つのマーカーであるオステオカルシンの発現に関してはまだ一定のデータが得りれておらず、今後さらに追究する必要があると考えられた. 2.In vivoモデルへの移植実験 【鋳型(scaffold)の改良】 細胞を包埋するscaffoldは当初の予定通り、TypeII collagenを縮合剤で化学的に架橋させたものを用いている.最初は、これを凍結乾燥せたものを使用していたが、疎水性が強く、細胞溶液がうまくscaffold内部に浸透しないという大きな欠点があった。この点を改善するため、現在では、ゲル化させたもの使用している.Scaffoldをゲル化することで、細胞を均一に包埋し、さらにscaffoldの形状を自由に変えることが可能となった.現在、このscaffoldにヒト軟骨細胞を包埋し、in vitroでの培養実験を行っているが、培養開始後、1週の時点で、軟骨細胞の形態は維持され、軟骨マトリックス(TypeII collagenおよびProteoglycan)の形成も良好であった. 【家兎軟骨欠損モデルへの移植】 家兎の膝蓋大腿関節に直径5mmの円柱状の軟骨欠損を作製し、ヒト軟骨細胞を包埋したscaffoldを移植した。移植後1週、2週、4週の病理組織学的検討では、いずれもscaffoldと軟骨下骨との癒合は良好であったが、軟骨vs軟骨の癒合が起こらず、亀裂が残存していた。軟骨組織自体の評価としてサフラニン-O染色を施したが、バラツキは見られるもののproteglycanの合成は良好であった。しかし、一部の家兎で線維芽細胞の混入が認められ、今後、匹数を増やして検討する必要がある。
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