研究課題/領域番号 |
13470315
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 秀男 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50138038)
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研究分担者 |
大谷 俊郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00160531)
須田 康文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20196900)
田口 哲志 物質・材料研究機構, 生体材料グループ, 研究員 (70354264)
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キーワード | 骨軟骨複合体 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / type II collagen gel / 交互浸漬 / 石灰化 / カルシウム至適濃度 / 軟骨再生 |
研究概要 |
Type IIコラーゲンゲルを用いた骨軟骨複合体を作るために、骨・軟骨それぞれで研究を進めた。軟骨では、昨年に引き続き、ウサギの膝蓋大腿関節に径5mmの軟骨欠損モデルを作成した後、ゲルに軟骨細胞を包埋し、移植した。培養後24週まで、組織学的評価の他に、免疫学的評価も行い、その長期成績も追究した。 また、その細胞の活性を測るため、アルカリ可溶化コラーゲンゲルを用いて軟骨細胞を包埋し、軟骨細胞の生存能、基質産生能、分化能を評価した。生存能はMTT法を用いて生存細胞数を測定し、またDNA量を経時的に測定したが、ゲル包埋細胞は少なくとも3週間は活性を持つことが分かった。基質産生能としてGAGの定量を行い、また分化度の指標としてtype II collagenおよびアグリカンを経時的に定量したが、培養時間とともにいずれも増加し、軟骨細胞としての形質を保ち、基質も産生していると思われた。 一方骨再生の分野では、交互浸漬の手技を確立し、コラーゲンゲルに対しアパタイトを任意の濃度で、任意の高さまで、任意の速さで沈着させることに成功した。一方で、この手技によるカルシウム(Ca)、リン(P)の細胞に対する負荷が骨芽細胞に対する影響を、2次元培養と3次元培養の両方で、検討した。骨芽細胞はCa2-6mMという低濃度に対して暴露に対する生存能がよいことをまず判明し、同濃度付近で増殖も促進されることを確認した。ただしゲルによる培養ではCa20mMという濃い条件下でも、増殖した。一方分化はCa6-8mMという増殖よりやや高濃度で促進され、石灰化能は、細胞の生存能と溶解度積の問題も絡み、Ca10mM付近で最大となった。ただしゲルによる培養では特に細胞の関与しない石灰化も大きいことが判明した。人工培養骨軟骨を合体させることを考慮すると、軟骨再生にあたり重要な一方を踏み出したと考えられた。
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