研究概要 |
1.軽度高二酸化炭素血症が肺胞マクロファージ(AM)に及ぼす影響: 麻酔導入直後、2、4時間後、および手術終了時に、肺胞気管洗浄でAMを採取した。AMの炎症性変化の判定を、定量的RT-PCRを用いたサイトカイン(IL-1β、IL-8、IFNγ、TNFα、IL-4、IL-10)の遺伝子発現で評価した。さらにリンパ球の分布(CD4,CD8など)と接着分子(CD11a, b, c,18,49d,54)の細胞表面抗原の変化をフローサイトメトリで評価した。サイトカインの遺伝子発現、活性リンパ球の上昇、リンパ球の表面抗原の増加はcontrol groupの方が有意に高かった。これらの所見から、軽度の高二酸化炭素血症は、術中の免疫系の変化を抑制することが示唆された。 2.手術侵襲の違いが肺胞マクロファージ(AM)に及ぼす影響: 手術侵襲の違いがAMに及ぼす影響を評価した。手術侵襲の違いにより3群に分けた。研究方法は研究1に準じた。サイトカインの遺伝子発現は低体温患者の方が有意に低かった。活性リンパ球の上昇、リンパ球の表面抗原の増加も、control群の方が有意に高かった。したがって手術侵襲が大きい程AMの機能変化が高度と考えられた。 3.術中低体温が肺胞マクロファージ(AM)に及ぼす影響: 術中の低体温がAM機能に及ぼす効果を検討した。その結果、AM機能すべて低体温で抑制された。周術期低体温は、肺免疫系を著明に抑制することが示唆された。
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