研究課題/領域番号 |
13470318
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
馬場 洋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00262436)
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研究分担者 |
安宅 豊史 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (60332649)
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キーワード | 脊髄後角 / 痛覚過敏 / 可塑性変化 / 膜電位画像解析 / ホールセルパッチクランプ / 赤外線微分干渉画像 / プロスタノイド |
研究概要 |
(1)膜電位感受性色素を用いた膜電位応答の画像解析では、本年度は後根付き脊髄横断スライス標本を用い、膜電位感受性色素(RH414)の負荷により、後根またはエントリーゾーンからの刺激によっても脊髄後角第II層を中心として更に深層にも興奮伝播する様子が観察可能となった。今後は後根の電気刺激強度や刺激頻度の検討を重ね、興奮伝播に影響を及ぼす薬剤の灌流条件下での観察を行っていく予定である。 (2)MAPK発現解析実験において後根付き脊髄スライス標本に対して、後根の電気刺激強度と脊髄内MAPK発現部位及びその量の対応を検討した。その結果、Aβ線維強度刺激では脊髄I、II層においてMAPKは活性化されないが、Aδ線維強度刺激ではMAPKが発現し、C線維強度刺激で更に増加することを確認した。 (3)近赤外線微分干渉顕微鏡を用いた可視化細胞からの電気生理学的記録実験では、本年度は生後4週まで成長したラットからも後根付き脊髄横断スライス標本を作製し、生きた神経細胞を可視化してホールセルパッチクランプ法によって記録が可能となった。しかも単一細胞から約1時間以上にわたって安定した記録が得られ、静止膜電位付近では自発的な興奮性シナプス後電流と後根電気刺激誘起のシナプス後電流を記録することが可能となった。今後4週齢ラットから末梢組織炎症により惹起される脊髄後角シナプス伝達可塑性変化の検討を行う計画である。 (4)in vivo動物標本における脊髄後角細胞からのホールセルパッチクランプ記録実験では、成熟ラットを用い、末梢刺激により脊髄スライス標本で観察されるようなシナプス応答が誘起されることを確認した。記録細胞の電位を固定することにより、下肢皮膚に機械的痛みおよび触刺激を与えた時の興奮性入力と抑制性入力が別々に解析可能となった。現在、より良好な電気生理学的記録を行うための装置の設置を継続中である。
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