研究課題/領域番号 |
13470319
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
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研究分担者 |
内田 一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00232843)
佐甲 靖志 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (20215700)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
西村 信哉 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (00263286)
赤坂 一之 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (50025368)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 麻酔 / ガス麻酔薬 / 揮発性麻酔薬 / GABA_A受容体 / NMDA受容体 / nACh受容体 / 5-HT_3受容体 / NGF |
研究概要 |
本研究は、種々の神経受容体に対する吸入麻酔薬の作用を明らかにして、麻酔の作用メカニズムの本質を解明しようとするものである。1)GABA_A受容体に対する吸入麻酔薬の作用:Recombinant GABA_A受容体(α1β2とα1β2γ2s)のイオンチャネル機能に対して、揮発性麻酔薬は両GABA_A受容体のCl^-電流を増強したが、キセノンと亜酸化窒素は有意な変化を示さなかった。2)NMDA受容体に対する吸入麻酔薬の作用:興奮性受容体であるrecombinant NMDA受容体(ζ_1ε_1)のNMDA-誘発性Ca^<2+>/Na^+電流に対して、揮発性麻酔薬は影響しなかったが、キセノンと亜酸化窒素は濃度依存的、可逆的に抑制した。以上の結果は、揮発性麻酔薬はGABA_A受容体系に対して、キセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体に特異的に作用することを示唆している。3)nACh受容体に対するガス麻酔薬の作用:亜酸化窒素とキセノンは、神経由来(α_7)_5 nACh受容体のACh誘発性カレントを濃度依存的、非競合的、電圧非依存的に抑制した。(α_7)_5 nACh受容体に対してはすでに揮発性麻酔薬の抑制作用が報告されており、吸入麻酔薬全体に共通した作用であることが示唆された。4)5-HT_3受容体に対す吸入麻酔薬の作用:5-HT_3受容体に対する吸入麻酔薬の作用には麻酔薬によって大きな差がみられた。イソフルランは5-HT誘発性カレントを著明に増強したが、セボフルラン、亜酸化窒素およびキセノンは逆に抑制した。5)神経成長因子(NGF)の1分子レベル可視化を用いた、膜受容体を介したシグナル伝達に関与するタンパク質の動態変化の解析と麻酔薬の作用:蛍光色素Cy3でNGFを標識し、全反射顕微鏡を用いて1分子単位でNGFとPC12D細胞膜上の受容体との結合過程を観察した。受容体と結合したNGF分子はブラウン運動をするが、その運動には2種類の異なるフェーズが観られた。NGF分子の拡散運動の軌跡をを解析することによって、拡散係数の大きなフェーズと小さなフェーズに分けられた。これらの結果は、NGF結合後の受容体の運動パターンには複数あり、これが細胞の様々な応答を制御するメカニズムと関連していることを示唆している。
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