研究課題/領域番号 |
13470320
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 行雄 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60294063)
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研究分担者 |
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10273640)
柴田 政彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50216016)
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
畔 政和 国立循環器病センター, 手術部, 部長(研究職)
駒村 和雄 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長(研究職)
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キーワード | 脳死 / 心臓移植 / 不整脈 / 中枢神経 / アドレメデュリン |
研究概要 |
(1)ラット脳死モデルの確立と脳死における揮発性麻酔薬の心筋感作作用 Pratschkeらの方法(Transplantation67:343-8,1999)によるラット脳死モデルを用いて現在臨床で広く用いられているイソフルレン、セボフルレンについて脳死状態における心筋感作作用をハロセンと比較検討した。イソフルレンおよびセボフルレンはハロセンに比べると心筋感作作用は弱かったが、麻酔薬を投与しない脳死ラットに比べて心筋感作作用を増強した。脳死患者でのこれらの使用は一般的だが、不整脈の危険性が潜在的なあることを脳死患者の麻酔管理において承知しなければならない。なおこの研究の一部は昨年の日本麻酔学会にて発表した。 (2)周術期中枢神経による循環制御に関する研究 周術期不整脈のモデルであるハロセンーエピネフリン不整脈を用いて不整脈発生における中枢神経の役割を継続して検討した。中枢神経のイミダゾリン受容体タイプ1が不整脈の発生を抑制するが遠心性の迷走神経を介し、アセチルコリンを介して少なくとも心臓のATP感受性Kチャンネルとなり、抗不整脈作用をもたらすことを見出した。このKチャンネルはpreconditioningで注目されているミトコンドリアKチャンネルではなくサルコレンマKチャンネルと考えられる。 (3)心臓移植周術期における内因性体液調整因子変化について 心臓移植手術の患者に加えて同様に重度の心不全を有する左心補助人工心臓植え込み術を新たに対象に加えてアドレノメデュリンの周術期変化を検討している。いずれの手術においてもアドレノメデュリンが人工心肺離脱後に著明な上昇を認める点では同様であったが、心臓移植術の方がその上昇はより著明であった。人工心肺時間はほぼ同じであるが、心停止時間が心臓移植術でより長い点に着目し、本結果はアドレノメデュリンが心筋障害と関連が深い事を示唆するものであると考えている。 (4)心臓移植術麻酔管理とEDVI 新たな循環管理の指標であるEDVIの有用性をCVPやPAPと比較で検討している。第1例を症例報告としてすでに誌上発表した。
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