研究概要 |
正常(C57BL/6)および神経型一酸化窒素合成酵素遺伝子欠損(nNOS-KO)マウスを米国ジャクソンラボより購入した.これらのマウスをハロタン麻酔下に脱血死させ,脳を摘出した.ビブラトームで脳スライス標本(厚さ約150μm)を作成し,これを観察用チャンバーに入れ,顕微鏡で脳実質内動脈(径5-10μm)を観察した.CCDカメラで経時的に撮影した動脈の血管径変化の画像を,メディアコンバータを介してコンピュータに取り込み,コンピュータ上でフィジオテック社製の血管径測定用のソフトウエアを用いて解析した.脳実質内動脈の再確認のため,一部の標本は,実験終了後染色を施して顕微鏡下で観察した. プロスタグランディンF2αで標本中の動脈を収縮させたのち,揮発性麻酔薬イソフルランによる脳血管拡張作用を観察した.イソフルランは,C57BL/6マウスでもnNOS-KOマウスでも,同様に脳実質内動脈を拡張させた.したがって,イソフルランの脳血管拡張作用には,神経型一酸化窒素合成酵素活性は関与していないものと考えられる. ついで,高炭酸ガスによる脳血管拡張作用が,C57BL/6マウスとnNOS-KOマウスで異なるかどうかを検討する予定である.さらに,各種K^+チャネル拮抗薬,一酸化窒素合成酵素阻害薬,可溶性グアニレートシクレース阻害薬および各種フリーラジカルスカベンジャーを用い,これらの脳血管拡張の機序も検討する予定である.
|