1)II型シスチン尿症の原因遺伝子(ヒトBAT2遺伝子(cDNA))のクローニング:先に同定したIII型シスチン尿症の原因遺伝子ヒトBAT1クローンの塩基配列の中から既に同定されている腎尿細管における一群のアミノ酸ランスポーターに保存された領域約500塩基をPCR法により増幅し^<32>P標識プローブを作成した。このプローブを用いてヒトの腎cDNA libraryのスクリーニングを行った結果、プローブとhybridizeする陽性クローンが得られた。オートシークエンサーにて塩基配列を求めると約1900塩基対よりなり、開始コドン、poly A tailを含む全長クローンであることが確認された。ヒトBAT1との相同性は64%であった。コンピューター解析(SOSUIアルゴリズム)による翻訳されたアミノ酸配列上、遺伝子産物は12回の膜貫通型蛋白であり1回膜貫通型とヘテロダイマー構造をとるアミノ酸トランスポーターとして矛盾しない結果であった。 2)機能解析:上記で得られたクローン(仮称BAT2)の遺伝子産物がシスチン尿症に関与するアミノ酸トランスポーターであることを証明するための機能解析実験を現在進行中である。培養細胞COS-7 cell(サルの腎由来)を用いて1回膜貫通型の活性調節因子r-BATとの共発現実験により機能解析を行う。機能発現ベクターpcDNA3.1(+)にBAT2およびr-BATのcDNAをそれぞれ組み込みCOS-7 cellにtransientに共発現させ、^<14>C標識したアミノ酸の取り込み活性を測定する。この方法はBAT1の機能解析にあたりすでに確立された方法でありBAT2についても追従して現在実験中である。プレリミナリーなデータでは明確なシスチン輸送活性がまだ確認されてないが現在再試および実験の各工程のチェックをおこなっている。
|