研究課題
基盤研究(B)
本研究は排尿機能におけるα1-アドレナリン受容体-過活動膀胱における役割を検討するために、尿道部分閉塞(BOO)ラットのモデルを作成し、α1A/1D受容体遮断薬であるタムスロシンの膀胱機能に対する影響を検討した。さらにα1D受容体ノックアウトマウスにおける膀胱機能を解析し、下記の結果を得ている。1.前立腺肥大症における排尿障害を再現する目的でラットのBOOモデルを作成し、48時間排尿動態および無麻酔下膀胱内圧を検討した。BOOラットはcontrol群およびsham手術群ラットに比べ、膀胱重量、膀胱容量、残尿量、一日排尿回数の著明な増加を認めた。以上より、適切なBOOラットモデルを作成し得たと考えられた。2.BOOラットを用いて、α1A/1D受容体遮断薬であるタムスロシンのラット膀胱機能への影響を検討した。α1A/1D受容体遮断薬タムスロシンの投与に伴い、sham手術群およびBOOラットともに用量依存的に排尿回数が有意に減少し、膀胱容量、排尿量が有意に増大した。また、BOOラットはsham手術群ラットに比較して、その変化率が有意に大きかった。タムスロシンはBOOラットにおける排尿筋過活動を改善させた。3.α1D-knockout(α1D-KO)およびwild-typeマウスを用いて、48時間排尿動態および膀胱内圧測定にて膀胱機能を検討した。α1D-KOマウスはWild-typeマウスに比べ、1日排尿回数が有意に少なく、膀胱容量および1回排尿量は有意に多かった。一方、最大排尿時圧や膀胱排尿筋、尿道組織の変化には明らかな差異を認めなかった。以上、α1A/1D受容体遮断薬タムスロシンはBOOラットにおける排尿筋過活動を改善させた。また、α1D-KOはwild-typeマウスに比べ、排尿回数の減少、膀胱容量や排尿量の増大が認められた。以上より、詳細な作用部位はまだ不明なものの、α1D受容体は蓄尿期における膀胱機能に影響を及ぼしていることが示唆され、BOOにおける過活動症状の発生に関与している可能性が示唆された.
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the Journal of Urology (in press)