研究概要 |
これまでの研究から第14番染色体での急速進行性腎細胞癌に特異的な癌抑制遺伝子としての候補遺伝子を詳細に解析してきたが現在のところ急速進行性腎細胞癌においてのみ発現の低下を認める遺伝子座は同定できていない。しかし、14番染色体上での腎細胞癌の癌抑制遺伝子の候補は同定できており、現在トランスフェクションを用いた野生型対立遺伝子の細胞導入実験により癌抑制遺伝子としての位置づけを確認しているところである。さらに同候補遺伝子は対立遺伝子の欠失のみならず、両側対立遺伝子のプロモーターメチル化がその不活化機構の主たるメカニズムであることも判明した。 また腎細胞癌におけるDNAメチル化による修飾を検討する中で腎細胞癌では複数の癌抑制遺伝子(p15, p16, E-cadherin, RASSF1A)が不活化していることが判明した(Kawakami et.al., Urology 2003)。14番染色体上の候補遺伝子の不活化と上記の他の癌関連遺伝子の不活化との関連についても検索を続けている。 体細胞由来である腎細胞癌との対比で生殖細胞系列の腫瘍細胞である精巣腫瘍についても同様のメチル化をもちいた研究を積極的に進めたところ、むしろメチル化がほとんどないという興味深い事象にたどり着き、腫瘍マーカーとしての応用も含めブレークスルーを引き出すことができた(LANCET 2004, Genes Chromosome and Cancer 2003, J.Urol 2003, ONCOGENE in press)。
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