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2003 年度 実績報告書

性ステロイド、特にアンドロゲンの中枢神経機能の性差形成における役割 ―グリア細胞機能調節因子としてのアンドロゲンに力点を置いた解析―

研究課題

研究課題/領域番号 13470335
研究機関愛媛大学

研究代表者

田中 潤也  愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)

研究分担者 秦 龍二  愛媛大学, 医学部, 助教授 (90258153)
横山 雅好  愛媛大学, 医学部, 教授 (50116993)
キーワードmicroglia / testosterone / estradiol / progesterone / astrocyte / neuron / apolipoprotein E / L-Ser
研究概要

男性脳、女性脳の違いを新たな観点から評価するため、全脳細胞の90%を占めるグリア細胞に対し、アンドロゲン等の性ステロイドホルモンがどのような影響を与えるかについて、細胞生物学的な解析を続けてきた。
本年度は下記のような実験的所見を得た。
1 最近我々は、中胚葉系由来とされ単球・マクロファージに類似した性質を有するマイクログリアに、多能性神経幹細胞としての性質があることを見出した。マイクログリアに高濃度血清処理を行うと、未分化多能性幹細胞としての性質を有するようになり、幹細胞状態となったマイクログリアを無血清培養液中に移すと神経細胞やオリゴデンドロサイト、アストロサイト様細胞に分化する。これら一連の分化転換過程に対する性ステロイドの影響を検討した。その結果、テストステロンにはアストロサイトマーカーであるGFAP陽性の神経前駆細胞への形質転換促進効果があることを見出した。更に、テストステロンはマイクログリア由来神経前駆細胞のGFAP-mRNAの発現様式を変化させていることも判明した。エストラジオール、プロゲステロンには有意な効果を見いだせなかった。エストラジオールには、神経細胞の生存維持効果が広く認められている、一方、テストステロンは神経細胞の生存に対し悪影響を及ぼす結果を示す報告がある。今回の我々の知見は、男性脳は脳卒中、外傷等脳損傷時の神経細胞生存という点では不利であるが、神経細胞の新生という点では有利である可能性を示唆している。
2 我々は、マイクログリアがL-セリン依存性に脂質運搬タンパク質、アポリポプロテインE(apoE)と、コレステロール、リン脂質、中性脂肪を放出することを見出した。さらに、テストステロンが、抑制的影響を示すことを明らかにし、男女の脳の性差形成に関与するテストステロンの機能発現メカニズムの一端を示すことが出来た。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] K Mori, A Yokoyama, L Yang, L Yang, N Maeda, N Mitsuda, Junya Tanaka: "L-Serine-mediated release of applipoprotein E and lipids from microglial cells"Experimental Neurology. 185. 220-231 (2004)

  • [文献書誌] A Yokoyama, L Yang, S Itoh, K Mori, Junya Tanaka: "Microglia, a potential source of neurons, astrocytes, and oligodendrocytes"Glia. 45. 96-104 (2004)

  • [文献書誌] Y Kuwabara, A Yokoyama, L Yang, K Toku, K Mori, I Takeda, T Shigekawa, B Zhang, N Maeda, M Sakanaka, Junya Tanaka: "Two populations of microglial cells isolated from rat primary mixed glial cultures"Journal of Neuroscience Research. 73. 22-30 (2003)

  • [文献書誌] F Gu, R Hata, K Toku, L Yang, Y-J Ma, N Maeda, M Sakanaka, Junya Tanaka: "Testosterone upregulates aquaporin-4 expression in cultured astrocytes"Journal of Neuroscience Research. 72. 709-715 (2003)

  • [文献書誌] Y-J Ma, M Okamoto, F Gu, K Obata, T Matsumoto, J Desaki, Junya Tanaka, M Sakanaka: "Neuronal distribution of EHSH1/inetrsection, a molecular linker between clathrin-mediated endocytosis and signaling pathways"Journal of Neuroscience Research. 71. 468-477 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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