研究概要 |
1.HPV16型L2蛋白質の108-120領域のアミノ酸配列をもつ合成ペプチドの経鼻接種によって、中和エピトープに結合する抗体を誘導することができるか調べた。ペプチドをPBSに溶かし、2週間隔で2回Balb/cマウスに経鼻接種した。4週後から、血中IgG及び膣洗浄液中のIgAに特異抗体が認められ、12週でも検出できた。これらの抗体は、HPV16及び6型偽ウイルスとコンジローマ手術材料から分離したHPV11ウイルスの感染性を同じように中和した。 2.HPV16L2蛋白質のアミノ酸108〜120領域(粘膜型HPVに共通)を付加したGFPはHeLa、SiHa、CaSki等の子宮頸癌由来細胞の表面に結合し、さらに細胞内部に侵入することが判った。この機能はHPVが細胞吸着、侵入するために必要で、それを抗体の結合で阻害することが抗L2抗体による感染阻止機構であると推定し、この領域に結合するIgA及びIgG抗体をヒトに誘導し複数の型HPVに有効なワクチンの開発を目指している。 3.CINおよび子宮頸がんから検出されたHPV33,52,58について、HPV16でよく知られているE6variantsについて調べた。HPV33にはvariantsが多く存在し、CIN I/IIでは71%(5/7)、CIN IIIおよび子宮頸がんでは15%(2/13)で有意にCIN I/IIでvariantsが多く、prototypeのほうがriskが高いと考えられた。HPV52,58ではCIN,癌に関わらず1/46および1/41でのみ異なるアミノ酸配列を持つものが存在し、riskとは関連ないことが判明した。
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