研究課題/領域番号 |
13470350
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
二階堂 敏雄 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50180568)
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研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 講師 (20235493)
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
藤井 信吾 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30135579)
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キーワード | 子宮筋腫 / 子宮平滑筋肉腫 / カルポニンh1 / 腫瘍化 / 免疫組織 / 転写調節 / 制御因子 / 病理組織 |
研究概要 |
本年度は免疫組織学的に分化型平滑筋細胞に特異的に発現するアクチン結合蛋白質であるカルポニンh1の発現が一部の子宮平滑筋肉腫で発現が低下していたことから、子宮平滑筋肉腫の腫瘍化とカルポニンh1の発現低下の関係を明らかにすることを目的とした。患者の同意を得て手術より摘出した標本から良性子宮平滑筋腫瘍、子宮平滑筋肉腫と病理組織診断された標本及びその病理標本に含まれる子宮平滑筋のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を、抗α-smooth muscle actin (α-SMA)、抗カルボニンh1モノクローナル抗体で免疫染色を行った。また、一部の組織より抽出したtotalRNAでRT-PCR法にてカルポニンh1のmRNAの発現を検討した結果、子宮平滑筋肉腫では、細胞骨格因子でるアクチン結合蛋白質カルポニンh1の発現が特異的に抑制されていることを見出し、子宮平滑筋肉腫においてカルポニンh1が腫瘍抑制因子であることを明らかにした。次に正常子宮平滑筋、子宮筋腫子宮平滑筋肉腫の各組織においてカルポニンh1の発現の異常が遺伝子レベルで起こっているか否かについて、DNA sequence法やSouthern Blotting法により明らかにすることを目的とした。手術摘出材料を採取し、ホルマリン固定パラフィン包埋切片の連続した包埋切片上の組織よりdigestion bufferで可溶化し、マイクロウエーヴ処理法でDNAを抽出し、PCRにて増幅しDNA sequencingを行った。またカルポニンh1の発現低下はDNAメチレーションによる可能性があるので、バイサルファイト法を使ってメチル化特異的なプライマーを用いてPCR法で解析し、その可能性を検討した。その結果、子宮平滑筋肉腫におけるカルポニンh1の発現の低下は、DNAメチレーションではないことが明らかになり、カルポニンh1のプロモーター領域に結合して転写を調節している制御因子の可能性が示唆された。今後カルポニンh1のプロモーター領域に結合して転写を調節している制御因子を解析することによって、カルポニンh1の発現低下の機序を解明する。
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