研究課題
基盤研究(B)
(1)抗癌剤耐性株の細胞生物学的性状解析:樹立抗癌剤耐性株の抗癌剤感受性を数値評価し、遺伝子発現プロファイリング結果と比較した。各種細胞性状とも照合した。また、アポトーシス制分子であるdeath-associated protein kinase (DAPK)の発現とプロモーターメチル化および抗癌剤感受性について、その関連性を世界で初めて実証した。子宮癌細胞の脱メチル化処理は、DAPK蛋白発現を誘導し、抗癌剤感受性を回復させた。SN38耐性癌細胞の脱メチル化処理はSN38感受性を回復させたが、CDDP感受性には影響を与えなかった。このことは抗癌剤の種類により抗癌剤感受性克服法がことなることを証明したことになる。(2)抗癌剤耐性株のcDNA microarray法によるmRNA発現プロファイリング:樹立抗癌剤耐性株から代表的耐性株を選別して遺伝子発現プロファイリングを行い、共通遺伝子発現異常を検索した。特に癌遺伝子c-myc発現レベルが抗癌剤感受性に極めて関連性が高いことを証明した。(3)RNA発現抑制法による抗癌剤感受性関連度測定と候補遺伝子の選別:siRNA法を応用して抗癌剤感受性克服と耐性関連遺伝子の確証を行った。予備実験に手間取ったが、siRNAによるSTAT3発現抑制の抗癌剤感受性や癌細胞増殖への関与が実証された。(4)抗癌剤耐性化現象に対する遺伝子治療に関する基礎的研究:子宮内膜癌は抗癌剤感受性が低いが、activin産生量が亢進していることから、このactivin産生亢進が抗癌剤感受性に及ぼす影響を検討した。その結果、子宮内膜癌細胞ではactivin自身は抗癌剤耐性に直接関わっていないが、activin産生亢進がTGF-betaによるアポトーシス誘導を受容体の競合的阻害により中和し、結果として癌細胞増殖を促進していることが判明した。目下、このactivin産生を抑制する薬剤を遺伝子治療薬の候補としてスクリーニングしている。(5)放射線治療時の抗癌剤併用条件の設定:進行期子宮頸癌に対する遺伝子治療を開始する前段階として、放射線療法と抗癌剤療法の併用に関して、至適併用条件を決定するための基礎的研究を行った。各種抗癌剤について、それぞれ至適併用条件を見出した。
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