研究課題/領域番号 |
13470375
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
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研究分担者 |
羅 雲 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (40302228)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
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キーワード | 人工臓器 / 括約筋 / 形状記憶合金 / 大腸肛門疾患 |
研究概要 |
初年度の人工肛門括約筋の試作・動作確認と2年度目の完全埋め込みのための経皮電力伝送システムや過熱防止装置の開発につづいて、最終年度では、今後の実用化を目標に、生体機能性、生体親和性の観点から、腸管への閉鎖圧の最適化及び人工肛門括約筋の表面温度の制御に関する研究を行った。これらの研究から以下に述べる成果を得た。 (1)人工括約筋のサイズや形状に関する最適設計を行った。改良した装置を動物体内に埋め込んだ後、閉鎖圧を腸管に挿入した内圧センサーよりモニタリングした。その結果、閉鎖圧が50〜60mmHgである場合、十分な閉鎖機能を有すると同時に、血流障害に由来する組織の損傷が確認されなかった。 (2)前年度で開発した過熱防止制御装置及び断熱材の材質や幾何学寸法を改良した結果、人工括約筋の駆動部にあたる形状記憶合金を数十分加熱・開放しても、人工括約筋の生体組織と接触表面の温度が生体の許容温度よりも低い、40℃以下に抑えることができた。 (3)温度制御の手法として、感温型フェライトトランスの利用について検討した。適切なフェライト材料の選択により、形状記憶合金を一定な温度に保持できることを確認した。この手法の導入がよりシンプルな構造を有する人工括約筋の開発を可能にした。 上記の(1)、(2)に関する考察は人工括約筋の実用化にもっとも重要な安全性問題に直接関わるものである。ここで得られた成果は実用化のレベルに達しており、今後の実用化の開発に指針を与えるものになる。(3)については、今後の動物実験における検証を行い、よりコンパクトな人工括約筋の実現につながると考えられる。 以上の研究成果は後述する雑誌に成果発表を行った。
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