研究課題/領域番号 |
13470383
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
脇坂 聡 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40158598)
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研究分担者 |
大西 智之 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (30303978)
渥美 友佳子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (90346164)
豊澤 悟 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30243249)
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キーワード | 歯根膜機械受容器 / 発生 / 形態維持 / 咬合力 / 脳由来神経栄養因子 / 再生 / ラット / 免疫組織化学 |
研究概要 |
咀嚼運動に重要な役割を果たしている歯根膜機械受容器であるルフィニー神経終末は激しく分枝した軸索終末とそれに付随する終末シュワン細胞から成り立っている。シュワン細胞は、ミエリン鞘を形成するタイプと、形成しないタイプに分類され、歯根膜ルフィニー神経終末に付随する終末シュワン細胞は後者に属する。シュワン細胞が軸索の発生や神経損傷後の再生過程において重要な役割を果たしていることは知られているが、これらの研究はミエリン鞘を形成するタイプのシュワン細胞についてであり、ミエリン鞘を形成しないタイプのシュワン細胞の機能についてはほとんど分かっていない。そこで、歯根膜ルフィニー神経終末の発生や再生での軸索終末と終末シュワン細胞の相互作用を数々の神経関連物質や細胞増殖因子とその受容体の発現動態を指標として検索した。その結果、支配神経損傷後の軸索および終末シュワン細胞において低分子量熱ショック蛋白質(heat shock protein)が一過性に発現することが分かった。また、神経交叉吻合術により異なる神経を吻合させても、歯根膜ルフィニー神経終末は再生し、そのときの終末シュワン細胞の動態は本来の支配神経損傷後の動態とほぼ同じであり、機械受容器の機能蛋白質と考えられるカルシウム結合蛋白質も発現することが分かった。さらに、歯根膜機械受容器の発生や維持、再生に深く関わっていることが知られている、脳由来神経栄養因子(BDNF;brain-derived neurotrophic factor)の遺伝子欠損マウスでは、神経損傷後の再生が遅れることが分かった。このことからBDNFが歯根膜機械受容器の発生・維持に深く関わっていることがうかがえる。一方これらの因子以外でも、咬合が歯根膜機械受容器の形成や維持に関与していると考えられる。そこで、片側ラット切歯切端を削合して、咬合力を軽減させると、歯根膜械受容器において感覚受容に深く関与する軸索小突起(axonal spine)が形成されないことが分かった。この現象は成獣よりも幼若動物に顕著であった。このことは適切な咬合力が歯根膜機械受容器の形成、維持に必要であることが分かった。
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