研究概要 |
平成14年度はマウス胎生10.5日(E10.5)と12.0日(E12)の下顎からmRNA採取し、cDNAに変換した後cDNAサブトラクションを行い、E10.5に強く発現するSet-α、heat shock protein(Hsp86,Hsc73,Hsj2)、nucleolin、Pgk1、E12.0に強く発現するL21、ATPase6、Tβ4、Ifrg15)についてマウス胎仔の下顎におけるその発現様式をin situ hybirdization法を用いて検索し、これらの遺伝子がいずれも歯胚の発生過程に発現している事を確認した。これらの遺伝子は歯胚発生過程では、過去に報告がないものであり、歯牙発生の分子メカニズムに新たな知見を加えるものであった。これらのうち、heat shock protein(Hsp86,Hsc73,Hsj2)については論文発表を行った。(Histochem. J. 34、3-4:105-109 2002)。さらに硬組織の形成と関連性がある事が示されているcore binding factor 1(cbfa1)についてin situ hybridization法による発現様式と、アンチセンス法による機能解析を器官培養法を用いて行った。その結果、cbfa1が帽状期以降の歯胚の発育、およびエナメル芽細胞や象牙芽細胞の発育と分化に関与している事が明かとなった。この結果についても現在論文投稿準備中である。また、Hoechist33342蛍光色素を用いた細胞分離法にて、歯胚形成開始期のマウス胎齢11日(E11)の下顎より歯胚幹細胞を含むと予想される未熟な細胞を回収し、低密度培養にによる分離細胞のクローニングを行っている。この段階でコロニーを形成した細胞群の中に歯原性幹細胞が含まれている可能性があり、クローニング終了後は、象牙芽細胞あるいはエナメル芽細胞への分化誘導因子・成長因子を添加し、reverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)により分化マーカーを検索し歯胚形成に関わるクローニング細胞を選定する。さらに、選定した細胞を3次元培養にて歯胚再構築能を有しているか検討し歯胚幹細胞を同定する。
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