研究課題/領域番号 |
13470385
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 輝男 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60077667)
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研究分担者 |
山座 孝義 九州大学, 歯学研究院, 助手 (80304814)
後藤 哲哉 九州歯科大学, 助教授 (70253458)
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (60253457)
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キーワード | 口腔上皮細胞 / PI3-kinase / F-アクチン / チタン / IGF / 接着 |
研究概要 |
チタンディスク上、カルチャーディッシュ上でシート状培養をおこなった。カルチャーディッシュ上と比較して、チタンディスク上では、F-アクチンの構成の発達程度が劣っていた。 phosphatidyl inositol 3 kinase(PI3-kinase)のインヒビターであるwortomannin(WT)を30分作用させたところ、上皮内のF-アクチンの構成が破綻していた。WTは、リバーシブルな薬剤である。 WT処理後、wash outすると、細胞内のPI3-kinaseの活性が徐々に回復することが知られている。この特性を生かして、WT処理後、wash outした口腔上皮細胞をWT無添加の培地で培養を続けた。カルチャーディッシュ上と比較して、チタンディスク上の培養口腔上皮細胞では、F-アクチンの再構成に必要な時間がより長く必要であることが分かった。 PI3-kinase再活性化時に、PI3-kinase活性を惹起する因子であるインシュリン様成長因子(insukin-like growth factor ; IGF)を添加した場合、F-アクチン再構成に必要な時間の短絡化が認められた。ただし、培養口腔上皮細胞におけるIGFの受容体の分布には、チタンディスク上、カルチャーディッシュ上で差違は認められなかった。また、WT処理していない培養口腔上皮細胞にIGFを添加した場合、対照群と同程度のF-アクチンの発達が観察された。 現在、チタンディスク上、カルチャーディッシュ上における口腔上皮細胞内でのPI3-kinase活性度合いを、IGF添加・無添加群で解析中である。 以上の結果から、チタン上の口腔上皮細胞では、原因は不明であるが、PI3-kinaseが低下しており、そのため、F-アクチンの発達が低いがために、接着性が劣っていることが示唆された。したがって、PI3-kinaseの活性化が、チタンと口腔上皮細胞との接着性の向上に必要であることが推測された。
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