研究課題/領域番号 |
13470394
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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研究分担者 |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助教授 (20264252)
平岡 行博 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20097512)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
奥村 茂樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80350825)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨代謝共役 / 骨誘導因子 / オステオプロテゲリン / ビスフォスフォネート / RANKL / アルカリフォスファターゼ |
研究概要 |
骨は常に吸収と形成を繰り返している動的組織である。骨形成を司る骨芽細胞は、実は破骨細胞の分化と骨吸収機能にも重要な役割を果たしていることは既に述べた。一方、破骨細胞によって骨吸収が行われた部位には新規に骨芽細胞が誘導され、新生骨が形成されることが形態学的に観察されてきた。これを骨のカップリング(共役)機構とよんでいる。このカップリング機構に直接関与する因子としては、骨基質中に多量に存在しているTGF-β、アクチビン、骨誘導因子(BMP)などのサイトカインがその候補者として考えられてきた。我々は、骨代謝共役因子(カップリングファクター)の存在様式を明らかにすることを目的に、破骨細胞と骨芽細胞の両者の活性が亢進している動物モデル(OPG遺伝子欠損マウス)を用いて実験を行った。前述のように、破骨細胞の分化と機能を制御するRANKLのデコイ受容体であるOPGの遺伝子欠損マウスは、破骨細胞の形成が促進し骨吸収が亢進することにより、骨粗鬆症の症状を呈する。さらに興味深いことに、OPG欠損マウスは骨吸収の亢進と共に血清中のアルカリフォスファターゼ(ALP)活性が上昇し、長管骨において骨形成のパラメーター(骨芽細胞面:ObS%BS)も増加していることが明らかとなった。この実験結果は骨吸収と骨形成の共役因子の存在を意味している。そこで、骨吸収阻害薬であるビスフォスフォネートを投与することにより、骨吸収を強力に阻害した際に、OPG欠損マウスにおける骨形成マーカーがどのような挙動を示すかについて解析した。14週齢雄のOPG遺伝子欠損マウスおよび正常マウス(C57BL/6J)にビスフォスフォネート(リセドロネート)を毎日皮下投与(30日間)した。と殺前にテトラサイクリン標識を行い、血清および骨を採取した。これらのマウスの血清中のALP酵素活性および骨の形態学的観察と骨形態計測を行った。その結果、OPG欠損マウスにおける骨形成促進(ALP活性および各種骨形態計測マーカーの亢進)は、ビスフォスフォネートの投与によって完全に抑制された。また、大腿骨成長板直下において、OPG欠損マウスでは立方形のふっくらと厚みを増した大型の活性化された骨芽細胞が多数認められたが、これらの立方形を呈する骨芽細胞は、ビスフォスフォネートの投与によって消失し扁平な形態を示すようになった。つまり、OPG欠損マウスにおいて認められた骨芽細胞の活性化が抑制される様子が観察された。以上の実験結果は、骨吸収の亢進と骨形成の促進はカップリング(共役)していることを示しており、骨組織においては何らかの骨代謝共役因子が存在している可能性が立証できた。
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