研究概要 |
骨組織の再生には間葉系幹細胞を骨芽細胞に分化させえる因子の同定が不可欠である。本研究では体性多能性幹細胞として正常ヒト骨髄間葉系幹細胞を選び、細胞培養系で骨芽細胞に分化誘導させる遺伝子発現をGene-Chipを用いてモニターすることを試みた。骨髄間葉系細胞が骨芽細胞へと分化する間に発現が認められた13,069遺伝子について、Gene Tree解析を行った。分化過程の遺伝子発現パターンの違いを比較することによって骨髄間葉系細胞の骨芽細胞への分化に関与する新規遺伝子の発見によって骨組織の再生の鍵となる因子の同定が期待できる。 低出力レーザー骨芽細胞の分化・増殖の促進、骨形成の促進作用が注目されている。しかしながらレーザー照射における骨形成能の促進効果の機序については不明な点が多い。マウス骨芽細胞様株MC3T3-E1細胞へのレーザー照射によって遺伝子発現が促進する遺伝子をcDNAマイクロアレイを応用して発現変動遺伝子の解析を試みた。また、非照射のmRNAを用いて差分化した遺伝子ライブラリーを構築して、分子生物学的にレーザー照射によって発現が増大する遺伝子の解明を行なった。低出力レーザー照射によって骨芽細胞のannexinIII、osteoglycin、MIF遺伝子の発現が促進されることが明らかになり、これらの遺伝子産物がレーザー照射による骨形成促進メカニズムに関与する可能性が示唆される。 歯肉の上皮細胞と線維芽細胞は、それぞれ特異的な役割をもつとともに、両細胞が相互作用をもって生体防御あるいは組織再生に働いている。しかし、そのメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、cDNAマイクロアレイを利用して、両細胞における発現遺伝子のトランスクリプトーム解析を試みた。2.1倍以上発現差がある遺伝子種、上皮細胞590遺伝子、線維芽細胞440遺伝子を同定した。これらの遺伝子から発現差がとくに大きい遺伝子を選びRT-PCR法で確認し、desmocollin, typeII keratin,(上皮細胞);vimentin, gp130,(線維芽細胞)などを同定した。
|