研究課題/領域番号 |
13470398
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 武仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90013896)
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研究分担者 |
吉野 教夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70220704)
鉄村 明美 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (90323691)
倉林 亨 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60178093)
誉田 栄一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (30192321)
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キーワード | MRI / USPIO造影剤 / 超微粒子超常磁性酸化鉄 / Combidex / ヒト舌扁平上皮癌 / p53遺伝子変異 / T1強調画像 / T2強調画像 |
研究概要 |
最近開発された超微粒子超常磁性酸化鉄(ultrasmall superparamagnetic iron oxide ; USPIO)造影剤は、細胞の食作用によって細胞内へ取り込まれる機構を利用した造影剤で、細胞外腔分布型の造影剤であるGdDTPAとは異なり、腫瘍特異的な造影効果が期待されている。本研究では、ヒト舌扁平上皮癌細胞の野生型SAS-wt,及びP53遺伝子変異型SAS-mp53をヌードラットに移植した実験腫瘍(直径約15mm)を腫瘍モデルとして用い、USPIO造影剤としてAdvanced Magnetics社のCpmbidex(dextran coated iron oxide nanoparticle, particle size 17-21nm)を用いて実験を行った。1.57のMR装置により、LP Loop Small Coilを用いてT1(SE), T2(FSE)強調画像を撮像し、腫瘍実質、腫瘍壊死部、結合組織、筋組織に関心領域(ROI)を設定して、その信号強度を測定した。Combidex静脈注射直後には、両者の腫瘍ともT1,T2の何れの庫像でも信号強度は造影前と変わらなかった。24時間後には、何れの腫瘍も、T1画像で腫瘍実質及び、懐死部ともに信号強度の増加が認められ、また同時にT2画像で、腫瘍実質部の信号強度の著しい低下が認められた。96時間後にはいずれの画像でも投与前のレベルまで戻った。野生型wt腫瘍とp53遺伝子変異型mp53腫瘍では、壊死部の生成状態と分布が異なり、悪性度の高いmp53腫瘍の特性を反映していた。これに対応して、信号強度の参照標準溶液に対する相対信号強度は、T1画像ではwt腫瘍の方がmp53腫瘍より信号強度増強が著しく、T2画像ではmp53腫瘍の方がwt腫瘍より著しい信号強度の低下を示した。周囲正常組織との信号強度の差(コントラスト)の変動を筋肉部を対象に検討すると、両腫瘍型で相違が認められた。このような腫瘍の生物学的特性を反映する造影効果は、新しいMRI画像診断方法に道を開<ものと考えられた。
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