| 研究概要 |
本研究プロジェクトは3-MPSを対照として、3-MPSに4F2S-3Mを混じた混合シランカップリング(シラン)剤、1分子内にフルオロアルキル基とメタクリロイル基を持つシラン(MA5bF、MA11bF)、および主骨格に芳香族であるベンゼン環を有し、有機官能基にメタクリロキシ基をもつシラン(p-MBI、p-MBC)を新規に合成し、それらの耐水耐久性を検討した。
3-MPSは水中保管期間の延長、およびサーマルストレス後有意に低下した。3-MPSに4F2S-31を20wt%混じたシランで改質したフィラーを用いて試作したコンポジットレジンは5年間の水中保管、および30,000回のサーマルストレス負荷後も引張り強さは有意には低下しなかった。また、本シラン硬化体は規則性を持ったラメラ構造をとることが電子顕微鏡で確認され、規則性のあるマイクロドメイン構造を持つ混合シランは接着耐水耐久性が高いことが示された。
新たに合成したベンゼン環を持つシランの加水分解性基をトリイソシアナート基に変えたシランの耐水耐久性はいずれも向上した。更に、ベンゼン環を持つp-MBIおよびp-MBCは著明な向上を示し、特に.p-MBIは3-MPSの初期接着強さの約2倍以上の値を示し、10,000回のサーマルストレス後もそれを維持した。破壊面も全てコンポジットレジン、あるいはガラスの凝集破壊であった。
一分子内にフッ化炭素鎖とメタクリロキシ基を有するシラン、すなわち、疎水性基を導入したMAnbF(n=5,7,9,11)を合成し、シランの耐水耐久性を検討した。MA5bFは全ての混合割合で高い接着強さと耐水耐久性を示した。
以上の研究成果から、フッ化炭素鎖およびベンゼン環を有するシランカップリング剤は、シリカ/レジン界面の加水分解による劣化を長期に亙り制御し、コンポジットレジンの物性、およびセラミックスの接着を飛躍的に改善できた。
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