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2002 年度 実績報告書

歯科用チタンおよびチタン合金の変色機構の解明と防食

研究課題

研究課題/領域番号 13470420
研究機関東京歯科大学

研究代表者

小田 豊  東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085838)

研究分担者 服部 雅之  東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10307390)
キーワードチタン / 変色 / 電気化学 / 腐食 / 義歯洗浄剤 / チタン合金
研究概要

チタンは金合金の様な貴金属とは異なる卑金属であり、優れた耐食性もその緻密な不動態被膜の保護作用にあり,酸化性の環境では優れた耐食性を示すものの,非酸化性の環境(フッ化水素酸など)では容易に腐食が進行する).チタン製金属床の普及と相まってチタンの金属床が使用中に褐色に変色したとの報告も散見されるようになり,その原因の究明が急がれている.チタン金属床の変色の原因としては,口腔内でのフッ化物の使用,有機酸の影響あるいは口腔外での洗浄による影響などが考えられている.そこで,チタン製義歯床の変色の原因を明らかにする目的で18種の義歯洗浄剤と5種の義歯洗浄剤成分を用いて浸漬試験,pH測定および,X線光電子分光分析,走査電顕による表面観察などを行ったところ,以下の結果を得た.(
1)義歯洗浄剤に長時間浸漬すると変色する場合があり,18種類の義歯洗浄剤のうちpH11以上の強アルカリ領域にあるステラデント,赤ピカ,エヴァクリーンで明確な変色を認め,中性領域のスモーカーズポリデントBで若干の変色を認めた.
(2)義歯洗浄剤に含まれていると考えられるNaOH,H2O2,Na3PO4,NaBO3,Na2CO3などの成分溶液を単独あるいは混合した溶液にチタン板を浸漬したところ,全ての溶液で変色を認めた.
(3)変色の認められたエヴァクリーン,NaOH,およびNaOH+H2O2浸漬試料の表面をX線光電子分光分析によって調べたころ,O1sの530.0eV付近の酸化物由来のピーク以外に,Naが僅かに検出された.しかし,ArエッチングによりNaは消失傾向にあるものの酸化物由来のピークは残存しており,浸漬試料の表面に形成された酸化膜はかなりの厚さであることが推定された.
(4)変色の認められた試料表面を走査電顕で観察したところ微細な粗造面となっていた.
以上のことから,強アルカリ性の義歯洗浄剤による変色の原因として,腐食による表面の粗化と酸化膜の生成が考えられ,変色の度合いは酸化膜の厚さに依存するものと推定された.
更に,フッ化ナトリウム,過酸化水素を添加した溶液中でのチタン合金の腐食,変色について検討中である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 阿部智行, 服部雅之, 小田 豊, 他: "義歯洗浄剤によるチタンの変色について"歯科材料・器械. 20,6. 366-371 (2001)

  • [文献書誌] 小田 豊, 阿部智行: "チタン補綴物の変色について"歯科学報. 101,11. 1019-1021 (2001)

  • [文献書誌] 北村 隆, 吉成正雄, 小田 豊: "接合した歯科用インプラント合金の電気化学的挙動"歯科学報. 102,8. 665-675 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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