研究概要 |
本研究は,適正な咬合面形態を付与した歯冠修復物を設計,製作することのできる歯科用CAD/CAMシステムの構築を目指すべく各年代の健常有歯顎者について咬頭嵌合位における三次元的な咬合接触データを収集し,咬合接触の三次元的な評価を行った.その結果,第一小臼歯および第二小臼歯の舌側咬頭において3群すべてに100%で,1点以上の接触点が認められ,接触面積では若年群と中年群の間,若年群と高齢群の間に有意な差が認められた.第一大臼歯の近心舌側咬頭,遠心舌側咬頭および第二大臼歯の近心舌側咬頭において3群すべてに100%の接触率で,1点以上の接触点が認められ,接触面積では若年群と中年群の間,若年群と高齢群の間に有意な差が認められた.また,DBCの接触面積において若年群と中年群の間に有意な差が認められた.そして,若年群と中年群の間およと高齢群の間において接触面積変化の大きい傾斜方向を明らかにした.これらは,上顎臼歯の咬合面において若年群と中年群の間,若年群と高齢群の間で,とくに機能咬頭における咬合接触状態の変化が大きいことを示すものである.また,健常者と顎機能障害者の習慣性咬合位から咬頭嵌合位への下顎変位を三次元的に解析し,健常者に比べ顎機能障害者では,下顎変位量が有意に大きく変位方向についてはすべての顎機能障害者において,下顎歯列部では上方に,下顎頭部では後方に変位する傾向が認められ,これら下顎変位が顎関節雑音の発症に関連している可能性を示した.さらに,様々な咬合接触像を呈する歯周疾患患者の咬合接触状態について今後,三次元的に評価することを目指すため,add画像法をもちいて健常有歯顎者と比較検討を加えた.そして,現在は咬頭嵌合立における非接触領域の解析および評価方法の確立を進めている.
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