研究概要 |
口腔癌由来培養細胞株におけるp53,mdmd2,p14タンパクの発現結果 ヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞株における癌関連遺伝子(p53,mdmd2,p14)の発現をWestern blot法による検索で検討した. ヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞株(HSC2,HSC3,HSC4,Ca9-22,KB, Ho-1-N-1,Ho-1-U-1)7株のうち,既にHSC2,HSC3,HSC4,Ca-9-22,Ho-1-N-1,Ho-1-U-1にはp53遺伝子の変異が報告されているが,今回の研究結果では,HSC4,Ca9-22,KB, Ho-1N-1の4株にp53タンパクの発現が認められた.mdm2タンパクは3株(HSC2,HSC3,HSC4)に,またp14は3株(Ca9-22,KB, Ho-1-N-1)に発現した.しかし,p14とmdm2の両方が同時に陽性であった例は,口腔扁平上皮癌由来培養細胞株にはなかった.また,対象としたヒト唾液腺癌由来培養細胞株(HSY, KSA)2株の内,HSYには,mdm2とp14が同時発現したが,p53タンパクはいずれの株にも発現しなかった. 平成13年〜15年の結果を総括すると,口腔白板症の悪性化や口腔扁平上皮癌のp53に対して,mdm2とp14の発現が低下するため,ARF-p53経路に生じる異常は腫瘍増殖機構の一因となる可能性が推定された.また,細胞や組織の悪性化に伴い,生体の自己防御機構の一環として腫瘍の制御に間質の参加する可能性も示された.
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