研究概要 |
1、骨延長後の骨系細胞の応答とその分布についての検討 細胞レベルで得られた結果を基に、骨延長への超音波刺激の効果について、動物実験にて組織学的に検討した。 ウサギ下顎骨に装着したマーチン社製創外骨延長装置を用いて実際に骨延長を行い、待機時間を変化させた。その結果、待機時間が短い群において細胞は不整で軟骨細胞の発現が見られたが、超音波刺激を加えCOX-2を非炎症的に増加させると、待機時間を通常通りにした場合と同様の結果が得られた。In vitro、in vivo双方の結果より、COX-2の骨系細胞分化における重要性が示唆された。 2、メカノレセプターの同定と、情報伝達機構の解明 我々のin vitroの骨細胞での結果(Endocrinology vol.137)が示すように、主に骨芽細胞の増殖によると思われる体液性の伝搬を伴う骨形成と、直接的なミネラルの蓄積のみの増加によるものとが観察されている。第一のメッセンジャーと考えられているCaの流入を分析した結果、分化の程度が進んだ骨系細胞では、細胞内カルシュウム濃度は、伸展刺激後約2時間前後で増加した。 それとはべつに、オステオカルシンなどの基質タンパクやIGF-1(インスリン様増殖因子)(B. B. R. C. vol.246)等についてRT-PCR法を用いて発現を比較し、チャンネルブロッカーやモジュレーターの存在下との比較で関与する因子の特定を行った。その結果、伸展刺激とPTHとの間に相乗効果はあったが、超音波刺激との間に相乗効果はなかった。さらに下流の情報伝達機構について、Western Blottingを用いてFAK, ERK、P38の上昇を観察したが、FAK, P38について上昇が見られた。したがって、超音波刺激は細胞の分化を誘導することが示唆され、その理由を平成13年度、14年度の結果をふまえて考察すると、COX-2が細胞分化に重要な役割を演じている可能性が考えられた。
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