研究課題/領域番号 |
13470446
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
真柳 秀昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60005098)
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研究分担者 |
畑 眞二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (20208507)
岩見 憙道 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (60005030)
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
佐藤 拓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10303132)
松山 順子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30293236)
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キーワード | ミュータンスレンサ球菌 / 糖アルコール / キシリトール / 酸産生阻害 / キシリトール5リン酸 / PEP-PTS(PEP依存性糖リン酸化酵素系) / 乳酸脱水素酵素 / ピルビン酸ギ酸リアーゼ |
研究概要 |
本年度は、糖アルコールの中からキシリトールを選ぴ、キシリトールのミュータンスレンサ球菌に対する酸産生阻害効果とこれら阻害効果の生化学的メカニズムを高度嫌気条件下で詳細に検討した。供試菌としてstreptococcus mutans NCTC10449(Sm)を用い、以下の結果を得た。 1.30mMキシリトールは、SmのpH7.0での10mMグルコースからの酸産生速度を約30%低下させた。 2.Smはグルコースから最終代謝産物として主に乳酸を産生したのに対し、キシリトールが存在するとトータル酸産生量が減少するだけではなく乳酸の産生割合が減少し、ギ酸と酢酸の割合が増加していた。 3.この時のSm菌体内の代謝中間体を定量したところ、グルコースのみを代謝しているときにはフルクトース6リン酸(FBP)をはじめ解糖系上流の代謝中間体が十分存在していたが、キシリトールが存在するとこれら解糖系上流の代謝中間体は減少し、とくにFBPは1/5程度に激減していた。また、キシリトール存在下では、グルゴースのみの場合には見られなかったキシリトール5リン酸(X5P)が菌体内に蓄積していた。 4.Smのトルエン処理菌はキシリトールをPEP-PTS(PEP依存性糖リン酸化酵素系)で取り込み、X5Pにリン酸化することが分かった。 以上のことから、ミュータンスレンサ球菌はキシリトールをX5Pとしての菌体内に取り込み、菌体内に蓄積したX5Pが解糖系上流の代謝反応を触媒する酵素を阻害することが示唆された。この解糖系上流の阻害によって菌体内FBPレベルは低下し、その結果、ピルビン酸から乳酸への代謝変換を担うFBP依存性乳酸脱水素酵素の活性は低下し、滞ったピルビン酸はピルビン酸を基質とするもう一つの酵素ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)によって、ギ酸・酢酸にかえられるものと考えられた。
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