研究課題/領域番号 |
13470447
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高木 裕三 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30124697)
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研究分担者 |
宮新 美智世 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 助手
加藤 純二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80177451)
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キーワード | 生活断髄糊剤 / DCPD系硬化体 / 即時硬化性 / OCP硬化体 / 水酸化アパタイト / 庇蓋硬組織形成 |
研究概要 |
歯科臨床では水酸化カルシウム製剤が断髄糊剤として広く用いられている。この製剤は庇蓋硬組織形成に関して優れた性質を持っているが、生体親和性や科学安定性では問題がある。ところで、断髄糊剤には包帯としての役割もある。そこで、もし糊剤が即時硬化性で生体親和性と機械的強度を持つものであれば、生活断髄糊剤としての役割を果たせると考えた。 我々はすでに粉液練和法による即時硬化性のリン酸二カルシウム・二水塩(DCPD)系硬化体を生成させる方法を開発している。そこで、このDCPD系硬化体を基本に、他のリン酸カルシウム硬化物との組み合わせで適切な生体材料学的性質と庇蓋硬組織誘導能を付与し、生活断髄糊剤として臨床応用可能な新しい材料の開発を目指した。この場合、DCPD系硬化体をmatrixとし、他のリン酸カルシウム系硬化体をcoreとする複合硬化体になることを基本戦略とした。 今年度はまず、リン酸三カルシウムをcoreとする場合の配分比について検討した。その結果、含有率が69%の場合に崩壊率と圧縮強さの関係から最も好ましいことが明らかになった。つぎに、この配分比の複合硬化体を生体に用いた場合の生体親和性と結晶安定性、水酸化アパタイト(HA)への転化の有無についてラット皮下移植実験による検討を行った。その結果、この硬化体は十分な生体親和性と安定性を持つと共に、当初リン酸八カルシウム結晶が生成され、後に全体がHA硬化体へ転化することがわかった。これらの結果をふまえ、今回の複合硬化体の歯内治療応用の可能性をさぐる実験を開始した。まず、ラットの臼歯に生活歯髄切断法を行い、経時的に歯髄の組織変化を観察したところ、まだ予備実験の段階ではあるが、庇蓋硬組織形成の初期応答は水酸化カルシウム糊剤より遅いものの、術後5週になると形成量および、構造において今回の複合硬化体の方が優れていることを示唆する結果が得られた。
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