研究分担者 |
友藤 孝明 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80335629)
西 一也 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10274002)
山本 龍生 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20252984)
坂本 友紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30325120)
江國 大輔 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70346443)
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研究概要 |
平成13年度は,LPS,プロテアーゼを塗布することにより,ラット接合上皮の深部増殖と上皮付着部に亀裂を起こさせ,初期の歯周病モデルを確立することができた。平成14年度では,機械的刺激により,歯肉細胞が最も増殖する刺激条件を決定した。平成15年度は,歯周病モデルを用いて,機械的刺激による歯周病への効果を調べることを目的とした。 Wistar系雄性ラット30匹を用いた。実験準備期間として,4週間,両側上顎第一大臼歯口蓋側歯肉にLPSとプロテアーゼを1日1回投与し,歯周病モデルを作製した。この時点をベースラインとした。LPSとプロテアーゼの投与を中止後,左側歯肉に電動ブラシ(Twinpecker^<【○!R】>)で機械的刺激を加えた。機械的刺激は1日1回,0.02Nの力で行い,10秒間加えた。反対側同名歯を対照とし,未処置とした。機械的刺激を行う期間は1,3週間とした。実験期間終了後,ラットを屠殺し,歯と歯肉を固定・脱灰した後,パラフィン包埋した。薄切した標本で,ヘマトキシリン・エオジン染色,抗proliferating cell nuclear antigenによる免疫染色(増殖活性)およびTUNEL染色(アポトーシス)を行った。 接合上皮の根尖側移動距離は,刺激群,対照群ともに減少した。接合上皮の好中球数および結合組織の好中球数が,刺激群において経時的に減少した。またコラーゲン線維破壊部位も刺激群で経時的に減少した。接合上皮基底細胞の増殖活性は刺激群で増加した。歯根近傍の結合組織線維芽細胞の増殖活性は刺激後1週目で増加し,3週目では総細胞数が増加した。アポトーシスは,刺激群,対照群ともに実験期間を通じて変化がなかった。 歯周病モデルに機械的刺激を加えることにより,接合上皮と結合組織の炎症性細胞浸潤が減少し,線維芽細胞が活性化され,コラーゲン線維の修復が促進された。このことは,ブラッシングの機械的刺激で歯周病の治癒が促進されるという臨床的意義を示唆している。
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