研究概要 |
本研究の目的は,咀嚼と嚥下機能に大きく影響すると考えられる口腔・咽頭領域の形態をデジタル超音波断層装置で観察し,さらに,探触子の位置や操作方法の開発を行い,3次元画像の構築(Fusion 3D)による口腔・咽頭領域の立体的静止画像ならびに動態画像の抽出を可能にすることである。本年度においては,新規に購入した超音波断層装置の特性を把握し,安静位における舌背の3次元画像の安定した描出のための探触子固定方法および操作方法についての検討を行った。3次元的口腔器官の描出のためには探触子を被検者の顎下部外表皮上で一定時間内(数秒)に滑走させる必要がある。まず,探触子を検査者の手指により保持・滑走させ,口腔・咽頭領域の描出可能域と描出条件設定についての検討を行った。当教室で従来行ってきた口腔咽頭領域器官の2次元的観察における描出条件では,口腔・咽頭内の空気層が低輝度で描出される。この低輝度画像が立体画像中では観察を目的とする舌背等の器官を包み込むため,明瞭な舌背・咽頭壁の立体像を得ることは困難であった。そのため,観察を目的とする器官の輝度を確認し,その前後の輝度のみを抽出するよう設定した。さらに描出深度の設定も描出を目的とする器官がすべて含まれる最小限度に絞り込むことによって立体像の描出が可能となった。しかしながら,手指による保持では安定した探触子の滑走が困難であり,立体像に歪が生じやすく,また描出のための保持・滑走法についての規格化が不可能であった。そこで,探触子の保持と滑走を一定の条件で再現できる装置を開発し,再現性と保持・滑走法の規格化条件についての検討を行った。
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