研究課題/領域番号 |
13470460
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70161049)
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研究分担者 |
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80014257)
小田 茂 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70160869)
黒田 真司 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (50323689)
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キーワード | エナメル / 骨 / 歯周組織 / アメロジェニン / 組織再生 / エナメルタンパク |
研究概要 |
ブタエナメル基質粗抽出物であるEMDOGAIN(商品名)の歯周組織再生への臨床応用が、現在おこなわれている。「エナメル基質中に何らかの硬組織誘導能を示す生理的活性物質があること」は明らかであるが、その生理的活性物質の正体は明らかにされていない。本研究の目的は、「エナメル基質中の生理的活性物質の分離、同定をおこなうこと」、「その生理的活性物質の歯周組織再生への応用を検討すること」の2点である。 EMDOGAINはマウス骨髄由来のKUSA細胞の細胞増殖を促進し、骨芽細胞表現型の発現を促進し、石灰化結節の形成を促進させた。同じマウス骨髄由来のST2細胞に対しては作用を示すものの、KUSA細胞に比較してあまり顕著な作用を示さなかった。またEMDOGAINは、マウス骨髄細胞培養系での破骨細胞形成をも促進した。KUSA細胞はエナメル質中に存在する活性物質を同定するために有用な細胞であると考えられる。EMDOGAINのKUSA細胞に対する作用は、培地にBMP2やTGF-βに対する抗体を添加すると抑制されたことから、EMDOGAINの有効成分としてBMP2あるいはTGF-βを含む可能性が考えられる。しかし、EMDOGAINを皮下に埋入した場合には異所性の骨形成が誘導されなかったことから、EMDOGAINのBMP様活性は弱いと考えられる。アメロジェニンのリコンビナントタンパクを作製しKUSA細胞に作用させたところ、石灰化結節の形成を促進したことから、EMDOGAIN中の有効成分がアメロジェニンである可能性が考えられた。EMDOGAINはラット頭蓋骨の欠損部の修復を促進したが、アメロジェニンのリコンビナントタンパクを骨欠損部に埋入しても治癒を促進しなかった。これらの結果を総合すると、EMDOGAINは多数の有効成分を含み、それらの複合的な作用によって歯周組織の再生を促進する可能性が高い。
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