研究概要 |
骨代謝に関連すると予想される候補遺伝子として、Vitamin D receptor (VDR),Tumor necrosis factor alpha (TNF-α),TNF receptor (TNFR),Interleukin-1(IL-1),IL-1 receptor antagonist (IL-IRA)およびCD14等を選択し、日本人においてこれらの遺伝子に存在する多型と侵襲性あるいは慢性歯周炎の発症との関連性について症例-対照研究を行った。遺伝子型の決定には末梢血から抽出したゲノムDNAを用いた。 その結果、日本人においてTNF-α遺伝子の5'上流領域の多型は広汎型侵襲性歯周炎(G-AgP)の感受性に関与しないが、VDRとIgG受容体であるFcγRIIIbの遺伝子型とのコンビネーション、およびIL-1RA遺伝子に存在するVNTR(Variable number of tandem repeats)多型は、G-AgPの感受性に関与することが示唆された。また、TNFR 1のsingle nucleotide polymorphism (SNP,1塩基多型)とG-AgPおよびFcγRIIbのSNPとG-AgPとの関連性が示唆された。CD14遺伝子多型は歯周炎の発症に関与しないが、早期の疾患活動性に関与している可能性が示された。その他の多型については歯周炎患者と健常者で遺伝子型分布に有為な偏りがみられなかった。 これらの解析結果により骨代謝に関連する多数の遺伝子が複合的に歯痛炎の発症に関与していると考えられる。本研究の成果は今後、多因子による歯周炎の総合的遺伝子診断として利用可能である。
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