研究概要 |
フォボロドプシン(pR)は高度好塩菌の負の走光性のレセプターである.ファラオニスフォボロドプシン(ppR)は高度好塩好アルカリ性菌に存在するpRに相当するレセプターである.ppRはpRよりも安定であり,また我々によって開発された大腸菌膜に機能を持った形で発現する方法があるので,研究に有利であり,ppRを研究材料に用いている.pRおよびppRは膜中でトランスジューサタンパクと相互作用しており,これらのセンサーが受けた情報はトランスジューサを介して細胞内に伝達される.今年度は次の点を明らかにした. 1)ppRは他の高度好塩菌のレチナールタンパクに比べて,吸収極大が約70nm短波長にある.この吸収波長の違いの原因を探るべく,レチナールの周りのアミノ酸残基を,長波長に吸収を持ち,非常によく研究されているバクテリオロドプシンのものに全て変換した変異体を作成したが,吸収極大の長波長への波長シフトは,約40%程度しか起こらかった.FTIRの測定より,シッフ塩基の水素結合の強さは,この置換によって不変であり,アミノ酸の置換のみでは波長制御はなされていない. 2)トランスジューサとの結合において,ppRのTry199が重要であることを明らかにした. 3)ppRのASP193の解離が,このタンパクの構造維持に重要であることを明らかにした.
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