研究課題/領域番号 |
13470478
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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研究分担者 |
久下 祐司 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (70321958)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (20209399)
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キーワード | ミトコンドリア / 膜電位 / 脂溶性カチオン / ログシアニン誘導体 / 放射性ヨウ素 / 腫瘍 / 核医学診断薬 |
研究概要 |
正常細胞に比べて腫瘍細胞のミトコンドリアの膜電位がより負に帯電していることに着目して、この電位差を利用して腫瘍に高い集積を示す新しいタイプの腫瘍診断用放射性薬剤を開発することを計画した。そのため、脂溶性カチオン型の放射性ヨウ素標識rhodacynanine誘導体1-Ethyl-2-{[3-ethyl-5-(3-(4-iodobenzyl) benzothiazolin-2-yliden)]-4-oxothiazolidin-2-ylidenemethyl}pyridinium(IBMKT)およびその^<125>I標識体を合成し、その6種の腫瘍細胞への取込を測定した。また、^<86>RbCl、^3H-水、^<14>C-スクロースを用いて、各細胞のミトコンドリア内膜電位を測定した。その結果、いずれの細胞においても、時間と共に取り込みは増加するとともに、その取込み率は、コントロールのNIH3T3に比べ、2〜7倍高いことが認められた。また、各腫瘍細胞のミトコンドリア内膜電位と正常細胞のそれよりも低かった。さらに、[^<125>I]IBMKTの取り込み率と腫瘍細胞のミトコンドリア内膜電位とを比較したところ、膜電位が低いほど[^<125>I]IBMKTの取り込みは高くなることを認め、両者には高い負の相関性があることが示された。これらの結果から、[^<125>I]IBMKTの細胞への取り込みはミトコンドリア内膜電位に依存する可能性が示された。さらに、担癌マウスに[^<125>I]IBMKTを投与し、その腫瘍集積性を調べた結果、核医学診断の指標となる対筋肉比は、投与後15分で約1.1、1時間で約1.3、3時間で約1.7となった。以上の結果より、[^<123>I]IBMXTが核医学腫瘍診断薬として有用な基本的性質を有している可能性が示された。
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