研究課題/領域番号 |
13470480
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宇野 公之 熊本大学, 薬学部, 教授 (00183020)
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研究分担者 |
富杉 佳計 熊本大学, 薬学部, 助手 (80322311)
石川 吉伸 熊本大学, 薬学部, 助手 (00305004)
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キーワード | ヘムタンパク質 / ガスセンサー / シグナル伝達 |
研究概要 |
本研究では、ガス状小分子によるシグナル伝達機構を解明するため、酸素、及び一酸化炭素のセンサータンパク質であるDos及びCooAの各種変異体を調製して、分光学的測定により構造生物学的観点から検討を加えていく。これらタンパク質は活性中心にヘムを持ち、ガス分子はヘム鉄に結合するため、活性に大きな変化を与える残基はヘム周辺に位置すると推測できる。今年度においてはまずDosの変異体を作成し、ガス分子の結合に関わるヘムポケット内アミノ酸残基の同定を試みた。Dosと相同なアミノ酸配列を持つFixLの立体構造情報に基づき、Arg91、Met95、Gln100をそれぞれLeuに置換したR91L、M95L、Q100Lを作成した。共鳴ラマン分光法を用いて調べたところ、野生型Dosは酸化型、還元型ともに6配位低スピンヘムを含むことがわかった。また、前記の各変異体も野生型と同様のスペクトルを示した。一方、酸化型標品に対するシアンイオンの結合性を調べたところ、変異体間で多少の違いはあるものの、いずれも数μMのシアンイオン解離定数を示した。低スピンヘムは、一般に強い配位子場を持つ軸配位子を持っており、この配位子を置換するためにシアンイオンは通常数mMの大きな解離定数を示す。今回の結果は従来の知見と相反するものであり、野生型Dosは極めて異常な性質を示す軸配位子を持っていることがわかった。さらに、CooAについては還元型で軸配位子となっているHis77をAla、Ser、Thr、Gln、Asnに置換した変異体を作成した。これらの共鳴ラマンスペクトルを測定したところ、軸配位子をひとつ失った5配位型のスペクトルが得られたが、6配位成分も観測された。変位にともないタンパク質の構造変化が起こり、ヘム近傍の残基が新たにヘム鉄に配位した結果と思われる。
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