(1)サイコシンによって形成されるgloboid cellに関与するタンパク質の検索 すでに述べてきたように、サイコシンによる細胞質分裂阻害により培養細胞系でもgloboid cell様の細胞が観察される。これまでmonocyte系の培養細胞株がサイコシンによってgloboid cell様の細胞に変化することを示したが、昨年、遺伝子導入が容易なCOS7細胞でも同様のことが起こることを見いだした。そこで関与が予想される種々の遺伝子を導入することでサイコシンの作用にどの様に影響があるのかを明らかにすることを試みた、その結果、サイコシンリセプターと考えられたTDAG8やその関連遺伝子ではサイコシンによる多核誘導作用への影響はほとんど見られなかった。 (2)酵母用いたサイコシン耐性遺伝子クローニング 酵母に於いても培養条件とサイコシン濃度を選ぶことにより細胞周期に異常が認められ、最終的に酵母の増殖は阻害される。そこで、これを利用しサイコシン投与による増殖阻害を回復させる遺伝子のクローニングを行った。方法はmulticopy遺伝子ライブラリーを用いて酵母トランスフェクションし、サイコシン含有プレートで増殖してくるクローンを単離し、そのクローンから遺伝子断片を回収し、遺伝子配列を決定した。その結果現在までに11個の遺伝子断片のクローニングを行った。それぞれの断片には平均して、遺伝子が5個程度はいっているので、順次、どの遺伝子がサィコシン耐性になるのかを明らかにしていく。
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