(1)サイコシンによって形成されるgloboid cellに関与するタンパク質の検索 遺伝子導入が容易なCOS7細胞を用いて、サイコシンによる多核細胞形成に関与するタンパク質について検討を加えた。可能性が考えられた、PI4P5Kについて。COS7に導入をしたところサイコシン処理した場合と同様に、細胞内に多数の液胞が見られたが、サイコシン処理によるPI4P5Kの活性には変化が見られなかった。 (2)酵母のサイコシン耐性遺伝子の作用機構 酵母のサイコシン耐性遺伝子のうち、トリプトファントランスポーターに関してサイコシン耐性能獲得メカニズムについて検討を加えた。その結果サイコシンはトリプトファントランスポーターの細胞内分解に関与しており、その機構は従来知られているトリプトファントランスポーターの分解機構とは異なる新しいものであった。この分解には細胞内顆粒の液胞が関与するが、プロテアソームは関与しなかった。さらに、ゴルジ装置から液胞への輸送系も関与していた。 (3)サイコシンによる細胞内顆粒の変化 サイコシン添加により細胞内顆粒に変化が見られた。変化した顆粒としてはリソソーム、初期エンドゾームがあり、サイコシン処理により細胞内に拡散した。
|