スフィンゴ脂質による巨大多核細胞産生モデル系を用いて、globoid cell産生メカニズムを研究するなかで、スフィンゴ脂質が関与する生体シグナルを明らかにしていくことを目的とした。以下の点について検討を加えた。 (1)スフィンゴ脂質の一種であるサイコシンの多核細胞産生機構 種々の培養細胞を用いてその機構を検討した結果、細胞質分裂時の膜輸送系を阻害することで細胞質分裂を中止させ多核細胞を賛成することを明らかにした。 (2)サイコシンによる細胞内顆粒の分布異常 サイコシン添加により細胞内顆粒に変化が見られた。変化した顆粒としてはリソソーム、初期エンドゾームがあり、サイコシン処理により細胞内に拡散した (3)出芽酵母用いた遺伝子クローニング 出芽酵母に於いてはPsychosine投与により、細胞周期進行阻害され最終的に酵母の増殖は停止する。そこで、これを利用しPsychosine投与による増殖阻害を回復させる遺伝子のクローニングをmulticopy libraryを酵母にトランスフェクションし、耐性を獲得した酵母から、導入された遺伝子を単離した。そのうちの一つはトリプトファンパーミアーゼをコードしていた。さらに詳細に検討したところ、サイコシンはトリプトファンパーミアーゼの分解を促進していた。
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