研究課題/領域番号 |
13470491
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
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研究分担者 |
金山 朱里 昭和大学, 薬学部, 助手 (10338535)
江川 清 昭和大学, 薬学部, 講師 (00095879)
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60245876)
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 助手 (60349040)
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キーワード | 細胞接着斑 / LIM蛋白質 / パキシリン / Hic-5 / 核移行 |
研究概要 |
最近我々は、細胞接着斑蛋白質Hic-5が酸化ストレスにより可逆的に核へ移行することを見出した。酸化ストレスとしては、過酸化水素やSH剤であるN-ethylmaleimideで同様な効果があり、酸化ストレス以外に、ホルボールエステルやサイトカラシンによっても核移行が見られた。同じ条件でパキシリンは核へ集積しない。接着斑に局在するHic-5は、細胞をレプトマイシンBで処理すると核に集積することから、Crm-1依存的な核排出シグナル(NES)を持つことが予想された。C-末端のLIMドメインはHic-5、パキシリンのいずれも核移行能を持つことから、N-末端が細胞質への保持に関わることが示された。各種の変異体を作成して検討した結果、N-末端領域のLD3ドメインがNESとして機能することが明らかになり、酸化ストレスに応答して核へ移行するためには、LD2付近に存在するHic-5特異的な2個のCysが必要であることも示された。この周辺のアミノ酸配列は、酸化ストレスで核へ移行する酵母の転写因子Yap-1と相同性が見られた。核内でのHic-5の機能の一つは標的遺伝子の転写制御と考えられるが、c-fos遺伝子の発現に関しては、正常ヒト繊維芽細胞で過酸化水素で誘導される誘導が、dominant negative Hic-5(LIM-4欠損)により抑制されたため、酸化ストレス下の内在性c-fosの転写制御にHic-5が関与することが考えられる。c-fos遺伝子の5'上流を持つレポーターを用いて解析した結果、Hic-5応答領域は5'上流約1.5kbにあるSp1エレメントが少なくとも一つの標的となっていることが明らかになった。
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