研究分担者 |
酒井 伸也 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (30324049)
後藤 博三 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (40313598)
柴原 直利 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (10272907)
関矢 信康 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40345575)
引網 宏彰 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (70345586)
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研究概要 |
富山医科薬科大学では、和漢診療学講座を中心として漢方医学に関する講義、実習を行なっている。今後、学生および教職員の要望に応えこの様な講義は各大学で実施されていくと思われる。しかるに、現時点では漢方医学教育のスタッフの不足、基本となる教材がない等の問題が山積している。本研究は医学教育現場のこのような現状を改善し、全世界的に運用されうる漢方医学教育のグローバルスタンダードとなるコア・カリキュラムの構築を目指すものである。 平成13・14年度は主に海外の現状を含む調査にあてられた。主な調査結果を示す。 (1)カリフォルニア大学デービス校(米国) カリフォルニア大学デービス校ではランチタイムに過一回一時間8通達続のCAMに関する講義が医学生を対象に行われている。内容は多伎に渡っており,その中の一コマに漢方医学(Chinese Herbal Medicine)があてられている。学生の関心は比較的高く,3〜4割の学生が毎年受講している。しかし,その教育方法に関してはまだまだ手探りの状態である。 (2)熙大学(韓国).高雄医科大学(台湾) 韓国では専門の医師を養成する目的で専門の大学で長期間かけて教育されている。西洋医学の医師を養成する大学では東洋医学は教えられていない。慶熙大学では黄帝内経,傷寒論などの古典に基づいた,生理学,生薬学,鍼灸などが教えられている。6年次にはインターンとして韓医学専門の病院で実習が行われている。台湾においても,韓国とほぼ同様であった。 平成15年度は調査に基づき110分授業4コマ、110分授業8コマ、110分授業16コマを行なうための、コア・テキストブックを作成した。この中で、気血水、陰陽、虚実、五臓論、六病位などの漢方医学的な概念。脈診、舌診、腹診などの基本的診察法。桂枝湯類、柴胡剤、麻黄剤など基本となる方剤の使用法・適応病態などを解説した。さらに、漢方方剤の副作用についても、調査結果をまとめテキストに取り入れている。 また、近年Evidence Based Medicine(EBM)の必要性が叫ばれているが、漢方医学教育においても、できる限りエビデンスを提示することが望ましいと思われる。そこで、サブ・テキストブックとなりうるように漢方方剤のエビデンスを集約し、これを一冊の本としてまとめたものが平成15年3月に出版された。テキストブックの中でも漢方医学のエビデンスという項目を渇げ解説している。さらに、漢方医学の基本概念を英語で解説したページ(Introduction to Kampo medicine)も設け外国人の教育にも対応できうるテキストブックとした。
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