医療提供組織における経営品質の多軸的評価方法の研究開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470505
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 今中 雄一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10256919)
• 研究分担者: 石崎 達郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30246045)
• キーワード: 医療の質 / 医療経済 / 経営品質 / 医療評価 / 重症度補正 / 原価計算 / 満足度 / 臨床評価指標

研究概要

医療の経営の質の評価方法を統合する試みを行った。医療機関の経営システムを評価する枠組みとツールとして、経営品質評価基準、第三者機能評価、国際標準規格のマネジメントシステムを検討し、A:組織運営の視点、B:医療の専門性の視点、C:患者・利用者の視点、D:財務の視点といった4つの視点からなら包括的な評価体系試案を構築した。即ち、A.組織運営の視点:A1)方針の展開、目標管理、臨床的な統治における組織的なリーダーシップ、A2)プロセス指向型の部門内・部門間連携の促進と維持;B.医療の専門性の視点:B1)臨床的なプロセスと支援活動プロセスの標準化、B2)個々のケアと組織のプロセスの計画立案とその計画の系統的なレビュー・品質保証、B3)パフォーマンスの測定の標準化と維持;C.患者・利用者の視点:C1)不満・苦情やリスクを全組織的に管理するシステム、要改善点の徹底的なフォローアップを行うシステム、C2)計画や測定を通じての顧客満足の認識と継続的な改善、D.財務の視点:D1)生産性、効率性、安定性、D2)財務関係データの活用、D3)原価の計算と活用
リーダーシップと組織文化、市場の理解と戦略的計画、問題・苦情に関する情報収集と対策のシステムが主要項目として位置づけられた。情報の活用できる情報システムの構築は、もう一つの鍵である。今後の重要課題は、臨床の質を評価する指標と医療の原価に関するデータベースであり、実証的にこれらの算出を行い施設間のばらつきとその要因を分析し、改善の余地を示すことができた。

研究成果

• [文献書誌] Imanaka Y.: "Macro and micro costing of atherosclerosis-related diseases in the Japanese health care system"Atherosclerosis. 4(2). 189-190 (2003)
• [文献書誌] Ishizaki T, Yoshida H, Kumagai S, Watanabe S, Shinkai S, Suzuki T, Shibata H, Imanaka Y.: "Active life expectancy based on activities of daily living for older people living in a rural community in Japan"Geriatrics and Gerontology International. 3. S78-S82 (2003)
• [文献書誌] Imanaka Y, Hayashida K, Nakatani I, Kuwabara K.: "Validation of a theory-based costing methodology through simulation in a virtual hospital : Towards a standardized model of patient-level costing with two-dimensional components"The Proceedings of 4th World Congress of International Health Economics Association. 4. 54-55 (2003)
• [文献書誌] Sekimoto M, Imanaka Y.: "Practice variation in perioperative antibiotic prophylaxis in Japan"The Proceedings of 20th ISQua International Conference on Quality in Health Care, Dallas. 20. 54-55 (2003)
• [文献書誌] Hirose M, Imanaka Y, Ishizaki T, Evans E.: "Profiling hospital performance of laparoscopic cholecystectomy based on administrative data"The Proceedings of 20th ISQua International Conference on Quality in Health Care, Dallas. 20. 53-54 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "医療の質と経済性の情報化"病院管理. 40(2). 1 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "医療評価と情報公開"自治体学研究. 86. 38-43 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "どのようにして医療の質、麻酔の質を評価するか"Journal of Anesthesiology. 17. S146 (2003)
• [文献書誌] 永井良三, 武藤正樹, 今中雄一ほか: "医療の質と安全管理"内科. 92(6). 1149-1161 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "クリティカルパスと診療プロセス管理"整形外科. 54. 986-991 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "ホスピス・緩和ケアと病院機能評価"ターミナルケア. 13. 121-124 (2003)
• [文献書誌] 桑原一彰, 松田晋哉, 今中雄一, 他: "日本版『試行診断群分類』-とくに臨床からの視点から2"病院. 62(5). 394-398 (2003)
• [文献書誌] 桑原一彰, 松田晋哉, 今中雄一, 他: "日本版『試行診断群分類』-とくに臨床からの視点から1"病院. 62(4). 316-319 (2003)
• [文献書誌] WHO-IHF(Imanaka Y as the principal investigator for the Western Pacific Region): "A Global Study on Experiences in Hospital Sector Reform, The performance of hospitals under changing socio-economic conditions"World Health Organization. 171 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一 編著: "医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 214 (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "医療の原価計算:序論 今中雄一編 医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 4(9-12) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "医療の原価計算:基礎理論と展開 今中雄一編 医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 14(19-32) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "患者別・診断群分類別原価計算方法標準マニュアル 今中雄一編 医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 25(33-57) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "原価計算方法調査票 今中雄一編 医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 15(58-72) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "患者別・診断群分類別原価計算方法標準マニュアル「解説書」 今中雄一 編 医療の原価計算:患者別・診断群分類別コスティング・マニュアルと理論・実例"社会保険研究所. 57(73-129) (2003)
• [文献書誌] 桑原一彰, 今中雄一: "DPCと外科診療 松田晋哉編 21世紀の医療と診断群分類-DPCの実践とその可能性"じほう. 8(32-39) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "患者別・診断群分類別原価計算の標準的な方法論の開発 松田晋哉編 21世紀の医療と診断群分類-DPCの実践とその可能性"じほう. 9(75-83) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "医療革新時代の診療報酬、医療評価と電子カルテ 里村洋一編 電子カルテが医療を変える(第二版)"日経BP社. 16(53-68) (2003)
• [文献書誌] 今中雄一: "電子カルテとクリティカルパス 里村洋一編 電子カルテが医療を変える(第二版)"日経BP社. 18(69-86) (2003)
• [文献書誌] 分担著(今中雄一他): "EBM(根拠に基づいた医療) 医業経営用語事典編集委員会編 医業経営用語事典"日本出版. 1(309) (2003)