研究概要 |
NK細胞受容体のうちKIR、NKG2A, C及びNKp30の多型解析系を確立した。これらを用いて日本人集団における各対立遺伝子、あるいは各抗原頻度を算出した。KIRに関しては12種類のKIR抗原遺伝子型の有無についてPCR-SSP法にて判定した。健常人90名を解析して算出した各KIR型表現型頻度は以下の通りである。KIR2DL1-99%、2DL2-11%, 2DL3-100%, 2DL4-100%, 2DS1-46%, 2DS3-19%, 2DS4-64%, 2DS2-11%2DS5-19%, 3DL1-92%, 3DL2-89%, 3DS1-44%。また各型の組み合わせでは2DL1-2DL3-2DL4-2DS4-3DL1-3DL2をもつAA1型が30%を占め最も頻度が高かった。これらについて報告された他集団のものと比較したところ、3DL2陰性者が存在すること、2DL2, 2DS2の頻度が低いこと、2DS5頻度が高いことなどが日本人に特徴的な点であることが判明した。またAA1型は調べられたすべての集団に共通して最も頻度の高いプロファイルであった。NGK2A、NGK2Cについてはそれぞれ11箇所、4箇所の変異を、NKp30は計5ヶ所で変異を検出し、それぞれの日本人健常人集団における各変異の頻度及び各遺伝子座における対立遺伝子頻度を算出した。NKG2Cでは遺伝子欠損型のアリルが高頻度に存在することは特筆すべき発見である。α-GalCer刺激により樹立したヒトNKT細胞でのNK細胞受容体発現を各種抗体を用いて解析を行った。CD161は全て陽性であったがKIR、NKG2については陰性であった。また各種疾患患者におけるNK細胞受容体型解析にも着手した。
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