研究課題/領域番号 |
13470509
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山村 研一 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (90115197)
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研究分担者 |
荒木 喜美 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90211705)
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キーワード | 家族性アミロイドポリニューロパチー / トランスサイレチン / ES細胞 / 相同組換え / Cre-loxP / 血清アミロイドP成分 |
研究概要 |
家族性アミロイドポリニューロパシーは常染色体優性遺伝病であり、異型トランスサイレチン分子が全身にアミロイドとして沈着し末消・自立神経障害を引き起こす疾患である。アミロイドの沈着に到るには、4量体であるトランスサイレチン分子の解離、凝集、アミロイド形成の3つのステップが考えられている。従って4量体の解離を阻止することにより、結果的にアミロイド形成も阻止できると考えられている。非常に興味あることに、119番目のThrのMetへの変異(Thr119Met)では、例えば30番目のValがMetに置換した変異(Val30Met)とのコンパウンドヘテロ接合体になると、むしろ4量体が安定し、アミロイド沈着もあまり観察されないと報告されている。そこで、マウスのトランスサイレチン遺伝子は破壊しつつ、ヒト遺伝子自在に挿入するため、我々が開発した変異型lox71を含む相同組換えベクターを構築した。非常に複雑な構造であり、左端から、ジフテリア毒素フラッグメントA遺伝子-ヒトTTRの第1エクソンの一部も含む上流約2.6kbの配列-lox71-PGKneo-loxP-polyA-lox2272-第1エクソンの後半も含み第1イントロン約7.9kbである。翻訳開始点は、第1エクソンの後半にあるので、このベクターが挿入されることにより、マウス遺伝子は完全に破壊されることとなる。構造が複雑で、クローニングがかなり困難を伴うものであった。現在、この相同組換えベクターをES細胞に導入し、相同組換えクローンを単離し、キメラマウスを作製したところである。一方、10番目のCysが、分子間でS-S結合を行なうことが、単量体の凝集に重要で、それが引き金となり、アミロイド形成が開始するといわれている。このことを明らかにするため、10番目のCysをSerに置換し、かつ30番目がMetという遺伝子を構築し、トランスジェニックマウスを作製した。これらのマウスを解析したところ、アミロイド沈着が観察されなかった。よって、10番目のCysが、アミロイド沈着にとって重要なかぎを握ることが分かった。
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