研究課題/領域番号 |
13470510
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山添 康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00112699)
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研究分担者 |
古川 正幸 大塚製薬株式会社, 研究員
宮田 昌明 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90239418)
永田 清 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80189133)
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キーワード | CYP3A4 / 酵素誘導 / 誘導評価系 / 安定発現株 / レポーターアッセイ / スクリーニング / in vivo |
研究概要 |
医薬品の開発過程においてCYP3A4のヒト型誘導を予測することが重要視されている。ところがCYP3A分子種の誘導には大きな差が認められることから、動物実験の結果からヒトでの酵素誘導を予測することは難しい。またヒト由来培養細胞系を用いたCYP3A4誘導の予測系も開発されているが、再現性あるいはコストの面などから汎用性が低い。そこで本研究では、CYP3A4の誘導予測を低コストでしかも再現性高く行うことが可能な優れたスクリーニング系の開発を目的とした。 まず、薬物の持つヒトCYP3A4遺伝子誘導能に必要は遺伝子領域を同定するために、CYP3A4固有のプロモーターあるいはエンハンサー領域を利用して、in vitroおよびin vivo実験に利用可能なアデノウイルスベクターを用いたレポーターアッセイ系を構築し、培養細胞やマウスに感染させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、誘導の評価を行った。その結果、HepG2細胞においてリファンピシンによってCYP3A4遺伝子は転写活性化された。さらに、ヒトPXRを発現する組換えアデノウイルスAdhPXRを作製して、AdCYP3A4-362-7kと同時にラット肝細胞由来のH41E細胞に感染させたところ誘導のヒト化が認められた。次に、実験動物においてはCYP3A4遺伝子の転写活性化がマウスあるいはラット肝臓内で観察され、さらにAdhPXRを併用投与することにより、高効率にCYP3A4誘導をin vivoで見ることが可能となった。本実験で使用したプロモーターあるいはエンハンサー領域を用いることでより正確なヒトCYP3A4の誘導予測が可能となった。 そこでこれらの領域を有するレポーターを用い、CYP3A4のヒト型誘導が予測可能な安定発現株を作成した。得られた安定発現株のCYP3A4誘導評価を行ったところ、薬物に応じた反応を示すことが確認された。またAdCYP3A4-362-7.7kを用いたリファンピシンの用量-反応曲線と比較して、低濃度でより高い応答を示すこと、また測定が簡便であることなどから今回作成した安定発現株の高い有用性が示された。
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